BATTLEフィールド

作品概要

『BATTLEフィールド』（バトルフィールド）は、漫画家・島本和彦氏が手掛けた第二次世界大戦をテーマにした戦記漫画シリーズです。主に読み切り形式で発表され、各話には「Code○」という話数表記が冠されています。島本氏の持ち味である熱血やギャグといった要素が意図的に抑制されており、全体的にシリアスなトーンで戦場の現実や兵士たちの人間ドラマを描いている点が大きな特徴です。物語の主な舞台はヨーロッパの西部戦線で、連合国側、特にアメリカ軍の視点から物語が展開されます。

掲載とシリーズ化の経緯

本シリーズは、小学館の発行する雑誌媒体で発表されました。初期作品である『汝の敵』と『愛しのテディーベア』は、『ビッグコミックオリジナル増刊』に単発の読み切りとして掲載されました。その後、第3作目の『エルベの笛』から、作品全体を示すシリーズタイトルとして『BATTLEフィールド』の名が冠されることになります。『エルベの笛』以降は掲載誌を『ビッグコミックオリジナル』本誌に移し、隔月での連載という形式でシリーズが継続されました。この掲載誌の変更とシリーズ化は、作品がより広く認知されるきっかけとなりました。

作風

『BATTLEフィールド』の作風は、島本和彦氏の作品群の中では異色と言えます。第二次世界大戦という題材に対し、基調は極めてシリアスです。戦場の過酷さ、兵士たちが直面する非情な現実、そして極限状態での心理描写などが丁寧に描かれ、戦争の厳しさをリアルに伝えています。賑やかなギャグや過剰な熱血表現は意図的に抑えられており、一部にコミカルな場面が見られる程度で、物語の大部分は重厚な人間ドラマで占められています。描かれる視点は主に西部戦線における連合国側の兵士たち、中でもアメリカ軍の視点であり、そこから見た戦争の悲哀や理不尽さが主題となっています。この作風は、島本氏が戦記漫画というジャンルに真摯に向き合った結果であり、彼の表現の幅広さを示すものです。

シリーズ作品一覧

本シリーズを構成する読み切り作品は以下の通りです。

汝の敵 (初出: 『ビッグコミックオリジナル増刊』1988年7月15日号)
愛しのテディーベア (初出: 『ビッグコミックオリジナル増刊』1988年10月15日号)
エルベの笛 (初出: 『ビッグコミックオリジナル』1989年2月20日号)
楽園のあちら側
不死身のジャン
紅はこべ団の冒険
ローラン
穴の中
コネティカット州のアメリカの奇跡 (初出: 『ビッグコミックオリジナル』1990年4月5日号)

書籍情報

本作は単行本として、小学館のビッグコミックスより刊行されました。
単行本発売日: 1990年4月28日
巻数: 第1巻のみの刊行です。残念ながら、続巻は出版されていません。
ISBN: 4091822517
* 現状: 紙媒体の単行本は既に絶版となっていますが、現在は電子書籍版が入手可能となっており、手軽に作品を読むことができます。

関連作品

島本和彦氏が戦記漫画を描くにあたり、過去の作品からの影響は無視できません。特に、島本氏がアシスタント経験のある新谷かおる氏の『戦場ロマン・シリーズ』は、短編形式の戦記漫画として直接的な繋がりを示唆しています。さらに新谷氏も、松本零士氏の『戦場まんがシリーズ』でアシスタントを務めていました。このように、『戦場まんがシリーズ』、新谷かおる氏の作品、そして島本和彦氏の『BATTLEフィールド』と連なる戦記漫画の系譜を見出すことができます。それぞれの作家が独自の解釈で戦争を描いており、『BATTLEフィールド』は島本氏がシリアスな筆致で戦争の現実を描き出した重要な作品と言えるでしょう。

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