BMR装甲兵員輸送車

ペガソ3560 BMR（Blindado Medio sobre Ruedas）

ペガソ3560 BMRは、1979年にスペインのENASAによって生産が開始された装甲兵員輸送車です。この車両は、スペイン陸軍の新型車両へのニーズに応える形で開発され、信頼性と多用途性を兼ね備えています。

開発の背景

1972年、スペイン陸軍は新しい6X6輪装甲車の試作をENASAに依頼しました。ENASAは1975年に試作車両ペガソ3500を完成させ、その後さらに改良を加えたペガソ3560が1979年に制式採用されました。このBMR-600の名称で知られるモデルは、複数の派生型を持つことからも、その汎用性が示されています。

車体の特徴

ペガソ3560 BMRの車体はアルミ合金で構成されており、前部には中空装甲が採用されています。基本の防弾性能は7.62mm弾に対応していますが、オプションで増加装甲を装着することで、より強力な12.7x99mm NATO弾や14.5x101mm弾にも対抗可能です。また、水陸両用機能を持ち、通常はタイヤの動きだけで水中を進むことができますが、必要に応じてウォータージェットを装備することも可能です。

内部構造と装備

操縦席は車両前部の左側に配置され、その後方には無線手と射撃手の席があります。エンジンは右側に位置しており、スムーズな操作が可能です。BMRは装甲兵員輸送車の役割を担い、後部には10から11人の兵員を収容できます。側面と後部には視察窓を兼ねた銃孔が配置されており、必要に応じて火力支援も行えるようになっています。固定武装としては、サンタ・バルバラ製のTC-3キューポラにブローニングM2重機関銃が装備されていますが、他の武器システムも選択可能です。

さまざまな派生型

BMRの派生型には多様な種類があり、それぞれ特定の任務に特化しています。基本型のBMR 3560.50（BMR-PP）は、兵員輸送用の装甲車両です。爆発物処理を行うためのBMR EDEXや、戦車駆逐用のBMR C/C MILAN、C/C TOWなどもあります。また、通信車や指揮通信車、自走迫撃砲なども用意されており、様々な戦術的要件に応じた運用が可能です。

運用の現状

ペガソ3560 BMRは、スペイン陸軍のみならず、南米のいくつかの国々でも広く採用されています。生産数は約1500両に達し、その性能と柔軟性が評価されています。最近の改良では、スカニア製のエンジンに換装し、増加装甲とエアコンを装備した「BMR 2計画」が実施され、こうした新型はBMR M1と称されています。

まとめ

ペガソ3560 BMRは、その高い機動性と多用途性により、現代の戦場において重要な役割を果たしています。さまざまな派生型の存在からも明らかなように、BMRはまさに多機能な装甲兵員輸送車として位置づけられ、今後の運用にも期待が寄せられています。

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