八八式偵察機

八八式偵察機

八八式偵察機（はちはちしきていさつき）は、昭和初期の日本陸軍が採用した偵察機であり、川崎が設計・製造を担当しました。この機体は特に日中戦争の初期に活躍し、その性能から日本陸軍を代表する軍用機の一つとして知られています。社内では「KDA-2」と呼ばれ、これは「Kawasaki Dockyard, Army」の略称です。

開発の背景

1925年（大正14年）11月、日本陸軍は新型の偵察機を開発するために川崎、三菱、石川島の各社に競争試作を指示しました。中島も自主的に参入しました。川崎での開発には、ドイツから招かれたリヒャルト・フォークト技師が関与し、1927年（昭和2年）には最初の試作機が完成しました。この機体は、競争審査において他の機体を圧倒する性能を示し、1928年（昭和3年）2月に正式に八八式偵察機として採用されました。

機体の特徴

八八式偵察機は、金属製の複葉単発機として設計され、主翼や胴体の構造は近代的でした。特徴的なのは、上翼にのみ補助翼が装備されていた点です。エンジンには、川崎がライセンス生産したBMW製の水冷V型エンジンが搭載され、冷却機は当初は角型のものが機首前面に配置されていました。これは運用中に前方の視界を妨げることが問題視され、後に冷却機を機首下部に取り付ける改良が行われました。この改良型は八八式偵察機二型と呼ばれ、より優れた操縦性能と安定性を持っていました。二型では垂直尾翼の高さが増し、補助翼も下翼に追加されました。

操作性と性能

当時の航空機において高い性能を誇り、稼動率も良好だったため、実戦部隊からの評価は非常に高かった八八式偵察機は、満州事変や第一次上海事変から日中戦争初期にかけて前線で使用されました。偵察機としての役割に加えて、爆装することで爆撃機としても活用され、後には専用の機体が開発されて八八式軽爆撃機（KDA-2改）として運用されました。1940年頃までは偵察部隊に配備され続け、様々な戦闘シーンでその存在感を示しました。

生産と数量

八八式偵察機は1928年2月から1934年まで生産され、川崎だけでなく石川島でも製造されました。最終的な生産機数は710機に達し、当時の日本陸軍機の中では非常に多くの機体数を誇りました。この多さからも、陸軍における八八式の重要性や当時の戦局における需要の高さが伺えます。

諸元

八八式偵察機二型の主要諸元は以下の通りです：

• - 全長: 12.28m
• - 全幅: 15.2m
• - 全高: 3.38m
• - 主翼面積: 48.0m²
• - 自重: 1,760kg
• - 全備重量: 2,800kg
• - エンジン: 川崎ベ式450馬力発動機（BMW-6）水冷V型12気筒
• - 最大速度: 220km/h
• - 航続時間: 最大6時間
• - 武装: 7.7mm機関銃×3
• - 乗員: 2名

このように、八八式偵察機は高性能を誇り、多様な役割を果たした重要な航空機であったことが分かります。

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