BMW・269

BMW 269：BMWが自ら手がけた初のF2マシン

BMW 269は、1969年から1970年のヨーロッパF2選手権に参戦した、BMWが初めて自社開発したフォーミュラ2カーです。設計を手掛けたのは、著名なデザイナーであるレン・テリー。オーソドックスな設計が特徴で、複雑な構造は避け、信頼性と扱いやすさを重視した設計思想が見て取れます。

それまでのBMWのF2参戦マシンはローラ・カーズ製でしたが、269はBMWが設計・製造した初めてのF2マシンという点で大きな意義を持ちます。このマシンは、強力なエンジンを搭載していたことが大きな特徴でした。1,598ccのエンジンは、10,700rpmという驚異的な回転数で250bhpもの最高出力を発生させました。このパワフルなエンジンのおかげで、269は高い戦闘力を誇り、レースで好成績を残すことに貢献しました。

1969年シーズンの活躍と悲劇

1969年シーズン、BMWチームはローラT102とBMW 269の2台体制でヨーロッパF2選手権に参戦しました。ドライバーには、ベテランのヒューベルト・ハーネが起用されました。その結果、チームは選手権で2位を獲得するという素晴らしい成績を残しました。しかし、この好成績の多くはローラT102によるもので、BMW 269はオーストリアでの1戦でのみポイントを獲得することに留まりました。

同年、BMW 269はF1ドイツグランプリにも参戦しました。ドライバーには、ハーネに加え、ゲルハルト・ミッターとディーター・クエスターが起用されました。しかし、金曜日の予選練習走行中にミッターが事故により亡くなるという悲劇に見舞われます。この事故を受け、BMWチームはドイツグランプリからの撤退を決定しました。この事故は、BMWチーム、そしてモータースポーツ界全体に大きな衝撃を与えました。

BMW 270へのバトンタッチ

BMW 269の後継モデルは、BMW 270でした。269で得られた経験とデータが270の開発に活かされ、さらなる性能向上と信頼性の向上が図られました。270は、269で培われた技術を基盤に、さらなる進化を遂げたマシンとして、F2の戦いを繰り広げました。

まとめ

BMW 269は、BMWにとって重要な意味を持つマシンです。自社開発による初めてのF2マシンとして、BMWのモータースポーツへの本格的な参入を示す象徴的な存在でした。強力なエンジンとオーソドックスな設計を組み合わせたこのマシンは、高いポテンシャルを秘めていましたが、その活躍は短期間に終わってしまいました。しかし、その存在は、BMWのモータースポーツ史において、決して忘れられることのない、重要な一ページを刻んでいます。また、ドイツGPでの悲劇は、モータースポーツ界の危険性を改めて認識させる出来事となりました。

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