BMW・7シリーズ

BMW 7シリーズの歴史

BMW 7シリーズは、同社が製造・販売する大型高級セダンです。メルセデス・ベンツ Sクラスと真っ向から競合するモデルとして知られ、オーナー自身が運転することを重視した設計が特徴です。本稿では、初代モデルから最新モデルまで、各世代の特徴を詳しく解説します。

初代 E23 (1977年-1986年)

1970年代のモデル改称により7シリーズとして誕生しました。6シリーズとは異なり、専用設計のプラットフォームを採用。ロングホイールベース仕様ではなく、ボディそのものを大型化することで、ショーファードリブンカーとしてのニーズにも対応しました。エンジンは、直列6気筒エンジン（ビッグ・シックス）を搭載。当初はキャブレター仕様、後にインジェクション仕様へと進化し、745iではターボエンジンもラインナップに加わりました。日本市場への導入は、当初は輸入代理店を通じて行われましたが、BMWジャパン設立後は同社が直接輸入販売を行うようになりました。排出ガス規制の厳しさの違いから、欧州からの並行輸入も盛んに行われました。

2代目 E32 (1986年-1994年)

初代モデルに比べ、洗練されたデザインと優れた空力性能（Cd値0.32）が特徴です。750i/iLでは、第二次世界大戦後のドイツ車として初めてV型12気筒エンジンを搭載しました。このモデルの登場は、競合他社の開発スケジュールにも影響を与えたと言われています。トランスミッションは、4速または5速AT、そして5速MTも存在しましたが、日本市場ではAT車のみが正規輸入されました。

3代目 E38 (1994年-2001年)

3シリーズに似たヘッドランプを採用し、Cd値は0.30を実現。エンジンは基本的に先代モデルを踏襲しつつ、750の排気量拡大が図られました。1996年にはトランスミッションがステップトロニックに変更されました。1998年にはフェイスリフトと同時にMスポーツ仕様が追加。日本未導入モデルも多数存在しました。750iLをベースにホイールベースを延長したストレッチリムジン、L7も存在し、東アジア、中東、欧州の一部地域で販売されました。また、研究開発の一環として水素エンジン仕様も少数製造されました。

4代目 E65/E66/E67/E68 (2001年-2009年)

革新的なデザインと技術が数多く導入されました。E65はノーマル・ホイールベース、E66はロング・ホイールベース、E67は防弾仕様、E68は水素[[自動車]]（Hydrogen 7）です。Cd値は0.29を達成。特徴的なエクステリアと新開発エンジン、そして革新的な操作系インターフェース（iDrive）が注目されました。2005年には大規模なフェイスリフトを実施。水素[[自動車]]であるHydrogen 7は世界初の量産型モデルとして2006年末に限定生産されました。

5代目 F01/F02/F03/F04 (2009年-2015年)

先代と比較して、より保守的なスタイリングとなりました。インテリアでは、コラムシフトからフロアシフトに変更。しかし、最新のテクノロジーはさらに進化し、アクティブ・ステアリングや四輪操舵システムなどを搭載。環境性能にも配慮し、ディーゼルモデルではCO2排出量が200g/kmを下回り、ハイブリッドモデルActiveHybrid 7も追加されました。日本仕様は当初左ハンドルのみでしたが、マイナーチェンジ後に右ハンドル仕様が追加されました。

6代目 G11/G12 (2015年-2022年)

カーボンファイバー素材を積極的に使用し、軽量化を実現。世界初の自動駐車システム「リモートパーキング」、ジェスチャー操作対応のiDriveなど、先進技術が多数採用されています。インテグレイテッド・アクティブ・ステアリングにより、全長5m超の車体でありながら高い操縦性を確保しました。後席には取り外し可能なタブレットが装備され、高級感と快適性を追求した「デザインピュアエクセレンス」仕様も存在しました。V12ツインターボエンジンを搭載したM760Li xDriveは、Mブランド初のV12モデルであり、驚異的な加速性能を誇ります。2019年のマイナーチェンジでは、キドニーグリルが拡大され、インテリアもアップデート。運転支援システムも進化しました。

7代目 G70 (2022年-)

ロングホイールベースモデルのみの設定となり、シリーズ初のEVモデルi7も追加。V12エンジンは廃止されました。自動ドアが全ドアに採用され、ボディサイズも拡大。エクステリアデザインは新型X7と同様の分割ヘッドライトが採用されています。

まとめ

BMW 7シリーズは、常に時代の最先端技術を取り入れながら進化を続けてきました。高級セダンとしての地位を確立し、競合他社としのぎを削る、BMWを代表するフラッグシップモデルです。今後、さらなる進化が期待されます。

もう一度検索