BMW・M12/13エンジン

BMW M12エンジンの概要

BMW M12は、BMWによって開発された直列4気筒のレーシングエンジンであり、F2、グループ5、F1などさまざまなレースカテゴリーで使用されました。特にF1用としては1982年から1988年にかけて活躍しました。このエンジンは1961年に発表された市販車用エンジン「M10」が起源で、ベースとなったM10エンジンは創造的な提案のもとに数度の改良を経て、性能が向上されました。

M10エンジンの進化

M10エンジンは、最初に発表された際、1,500 ccの水冷直列4気筒エンジンとして登場し、80馬力の出力を持っていました。1971年には排気量を1,990 ccに拡大し、キャブレターから機械式インジェクションに変更されることで、130馬力にまで性能を引き上げました。この進化の中で、BMWのエンジニア、パウル・ロシェは、DOHCヘッド（16バルブヘッド）を搭載したレーシングエンジンへの改造を開始しました。このエンジンの設計は、F2規定に応じて1,600 ccから2,000 ccへの移行を経て、市場に供給されることになりました。

F2及びF1への参戦

M12エンジンは、初めにF2用の1,600 ccバージョンが開発されましたが、1972年にF2の規定が変更されたことで、2,000 ccバージョンのM12/6が1973年に発表されることになりました。このM12/6は圧倒的な加速力と優れた耐久性を持ち、富士グランチャンピオンレースなどのレースで強さを発揮しました。しかし、1977年にはマツダのロータリーエンジンが登場し、さらに1980年には競争が激化しました。このような状況を反映し、BMWはエンジンの高回転化に取り組むことになりました。

F1エンジンとしては、1982年から1,500 ccのターボエンジンを開発し、マクラーレンチームとの提携を模索しましたが、様々な理由から計画は頓挫しました。最終的にはブラバムチームに供給され、このエンジンはF1デビューを果たしました。特に1986年にはM12/13が、公称出力570馬力を誇り、ネルソン・ピケがこのエンジンで優勝を収めました。

M12シリーズのエンジン

M12エンジンはさまざまなバリエーションが存在し、各サフィックスが異なる特性を示しています。たとえば、M12/1は1968年に開発され、1,600 ccエンジンで、F2競技を意識して設計されました。一方、M12/6は1973年に設計された2000 ccエンジンで、F2ルールの変化に伴い、圧倒的な力強さを活かして成功を収めました。

また、M12/7は高回転化と高出力化を目指したエンジンで、F2の競争の厳しさを反映し、エンジニアたちは改良を続けました。しかしこの競争はBMWにとって難題となり、ホンダなどの他社エンジンが強力なライバルとなってゆくことになります。

最終章

最終的には、1987年以降はメガトロン名義で引き続き使用され、多くの技術者がこのエンジンに関する革新を試みてきました。 BMW M12は特にパフォーマンスの象徴とされ、レーシングエンジンの歴史において重要な役割を担いました。時代を超えても影響力を持ち続け、エンジン設計の未来に貢献し続けているのです。

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