BMW・N20エンジン

BMW N20型エンジン：直列4気筒ターボの革新

BMW N20エンジンは、同社が2011年に導入した直列4気筒ガソリンターボエンジンシリーズです。それまでの直列6気筒エンジンであるN52型やN53型に替わる、新たなダウンサイジングターボ戦略の中核を担うエンジンとして登場しました。小型化と軽量化を追求しつつ、従来の6気筒エンジンに匹敵する、あるいはそれを凌駕する出力とトルクを実現した点が大きな特徴です。

先進技術の融合

N20エンジンは、複数の先進技術を巧みに融合することで、高性能と高効率を両立させています。具体的には、ツインスクロールターボチャージャー、可変バルブタイミング、可変バルブリフト、そして直噴技術を採用。これにより、低回転域から力強いトルクを発揮し、同時に燃費性能も向上しています。さらに、アイドリングストップ機能や電気式冷却ポンプなども搭載し、環境性能にも配慮した設計となっています。

N13エンジンとの棲み分け

N20エンジンは、より排気量の小さなN13型ターボエンジンと併行して生産されました。この2つのエンジンは、車種や市場のニーズに合わせて使い分けられていました。N13エンジンがより小型で燃費に優れたエンジンである一方、N20エンジンはより高い出力とトルクを必要とする車種に搭載されました。この戦略は、BMWの幅広い車種ラインナップに対応するために有効な手段でした。

数々の受賞歴と高い評価

N20エンジンの高い技術力と性能は、高い評価に繋がり、2012年には権威ある「International Engine of the Year Awards」の「Ten Best Engines」に選出されています。これは、世界中のエンジニアから高い評価を得ていることを証明するものであり、BMWの技術力の高さを示すものとなりました。

後継エンジンへの移行

2014年以降、N20エンジンは後継となるB48型エンジンに順次置き換えられていきました。B48エンジンは、N20エンジンの設計をベースにしながらも、さらに燃費効率や環境性能を向上させたエンジンです。しかし、N20エンジンは、BMWの歴史において重要な役割を果たしたエンジンであり、その技術的な革新性は、後のBMWエンジン開発にも大きな影響を与えました。

搭載車種

N20エンジンは、BMWの様々な車種に搭載されました。搭載車種と出力の違いは以下の通りです。

135 kW版:

2011年- E84 X1 xDrive/sDrive20i
2011年- F25 X3 xDrive20i
2012年- F30 320i
2012年- F10 523i
2011年- E89 Z4 sDrive20i
2014年- F22 220i

180 kW版:

2011年- E89 Z4 sDrive28i
2011年- E84 X1 xDrive28i
2012年- F25 X3 xDrive28i
2011年- F30 328i
2012年- F10 528i
2013年- F32 428i Coupé

これらの車種において、N20エンジンは、スポーティな走りや優れた燃費性能に貢献しました。N20エンジンの登場は、BMWのエンジン開発における大きな転換点であり、現代のBMWエンジン技術の礎を築いたと言えるでしょう。 今後、BMWがどのようなエンジン技術を開発していくのか、注目が集まります。

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