BOOKEND

BOOKEND (ASKAのアルバム)

『BOOKEND』（ブックエンド）は、シンガーソングライターASKAによるカバー・アルバムであり、2011年12月7日にユニバーサル シグマより発売されました。

制作背景とコンセプト

本作は、2009年に発表されたカバー・ミニアルバム『STANDARD』の系譜を継ぐ作品です。『STANDARD』を制作した後、「これをフル・アルバムとして完成させたい」というASKA自身の強い希望が生まれ、本作の制作へと繋がりました。また、スタンダードナンバーというジャンルへの探求はASKAにとって未だ進行中であり、「歌い込んでいきたい」という継続的な思いも制作の大きな動機となっています。そのため、『STANDARD』に収録されていた楽曲も改めて収録され、フル・アルバムとして世に送り出されました。

発売時期が年末であることから、アルバム全体にクリスマスを連想させる雰囲気が漂いますが、ASKA自身は特定のクリスマス・アルバムとして限定しているわけではありません。「この時期に耳にして、自然とそういった気持ちになれるような楽曲を選んだ、“それっぽい”アルバム」だと語っており、季節感はありつつも、より広い意味での「スタンダード」を追求した作品と言えます。

収録内容

本作には、多岐にわたるジャンルから選ばれたスタンダードナンバーや、自身の過去の楽曲のセルフカバー、そして注目すべき新曲が収められています。特に、新曲「思い出すなら」は、2009年2月のシングル『あなたが泣くことはない』以来の新曲発表となり、ファンの間で大きな話題となりました。この新曲についてASKAは、「スタンダードを歌ったアルバムの中に自分の新曲を入れるのは少々畏れ多い気もするが、自身の次の活動の方向性を示すためにも、あえて収録することにした」と述べています。同世代のリスナーとの共有感を大切にし、「ここを通れば分かり合える」と思えるような楽曲を目指して制作されたと言います。

また、CHAGE&ASKAの楽曲「世界にMerry X'mas」や、光GENJIに提供し後に自身のアルバム『SCENE II』にも収録された「Please」といったセルフカバーも収録されています。「Please」は、本作のサウンドプロデューサーである澤近泰輔からのリクエストがきっかけでレコーディングされることになりました。

収録曲は以下の通りです。

1. Love Is A Many-Splendored Thing
2. Have Yourself A Merry Little Christmas
3. Smile (『STANDARD』にも収録)
4. Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!
5. The Christmas Song (『STANDARD』にも収録)
6. 世界にMerry X'mas
7. My Life
8. 思い出すなら
9. Stardust (『STANDARD』にも収録)
10. Please
11. What A Wonderful World
12. Good Night (『STANDARD』にも収録)

これらの楽曲には、『慕情』の主題歌や『モダン・タイムズ』、『若草の頃』といった名作映画で使用された楽曲、ルイ・アームストロングの代表曲、ビートルズの楽曲など、様々な時代やジャンルを超えた名曲が含まれています。

参加ミュージシャンと関連展開

本作のサウンドプロデュース、全編曲、全てのキーボードおよび追加楽器は、澤近泰輔が担当しています。

また、本作の発売を受けて、2012年1月21日と22日には、東京・日本武道館にてコンサート『ASKA CONCERT 2012 昭和が見ていたクリスマス!? Prelude to The bookend』が開催されました。1月22日の公演は、全国各地の映画館でのライブシネマとしても中継され、多くのファンが鑑賞しました。

本作は、ASKAの「スタンダード」という音楽ジャンルへの継続的な取り組みと、アーティストとしての現在地を示す重要な作品と言えるでしょう。

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