BRM・P133

BRM P133：1960年代後半を彩ったブリティッシュレーシングマシン

BRM P133は、ブリティッシュ・レーシング・モータース（BRM）が1968年と1969年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カーです。ベテラン設計者レン・テリーの手によって生み出され、自社開発の3.0リッターV型12気筒エンジンを搭載した、当時のF1シーンを代表するマシンの一つでした。

1968年シーズン：ペドロ・ロドリゲスの活躍

1968年シーズン、P133は主にペドロ・ロドリゲスによってドライブされました。ロドリゲスは、その卓越したドライビングテクニックでP133のポテンシャルを最大限に引き出しました。

シーズンを通して、P133は安定したパフォーマンスを示しましたが、同時に信頼性の問題にも悩まされました。スペインGPでは予選2位につけるもクラッシュリタイア、モナコGPでも予選9位からクラッシュでレースを終えるなど、速さの裏に脆さも抱えていました。

しかし、ベルギーGPでは予選8位から見事2位表彰台を獲得。さらにフランスGPではファステストラップを記録するなど、その潜在能力の高さを証明しました。オランダGPでは3位入賞、カナダGPでも3位と表彰台に上るなど、好成績を収める場面もありました。一方、イギリスGPではエンジンブローでリタイア、イタリアGPでは他のマシンを使用するなど、完走率を高めることが課題でした。

シーズン最終戦のメキシコGPでは4位でシーズンを終え、P133はBRMにとって重要な戦力となりました。

1969年シーズン：ジャッキー・オリバーと信頼性問題

1968年シーズン後、BRMはロドリゲスをプライベーターチームに移籍させました。代わりに起用されたのはジャッキー・オリバーでした。しかし、P133は1969年も機械的トラブルに悩まされ、オリバーは思うような結果を残すことができませんでした。

南アフリカGPでは7位でフィニッシュしたものの、その後はオイルパイプ破損、追突事故、ギアボックストラブルなど、機械的な問題により多くのリタイアを喫しました。フランスGPを欠場したチームは、イギリスGPでもトランスミッショントラブルでリタイア。その後、チームはP138やP139といった他のマシンを使用することになり、P133は事実上、戦列を離れることになりました。

P133の開発と特徴

P133は、レン・テリーが設計したBRM P126のワークスバージョンとして開発されました。テリーのワークショップであるトランスアトランティック・オートモーティヴ・コンサルタンツで製造されたこのマシンは、当時のF1マシンとしては先進的な技術が盛り込まれていました。しかし、その複雑さゆえに信頼性という面で課題を抱えていたことも事実です。

まとめ

BRM P133は、ペドロ・ロドリゲスの卓越したドライビングスキルと相まって、1968年シーズンにおいて輝きを放ちました。しかし、機械的な信頼性の低さが、その真価を十分に発揮する妨げとなりました。1969年シーズンは、期待された活躍とはほど遠い結果に終わり、BRMのF1における挑戦は新たなフェーズへと移行していきました。P133は、速さと脆さを併せ持つ、1960年代後半のF1を象徴するマシンの1台として記憶されています。

もう一度検索