1969年のF1世界選手権

1969年のF1世界選手権概要

1969年のF1世界選手権は、FIAフォーミュラ1における第20回大会として、3月1日に南アフリカで開幕し、10月19日のメキシコでの最終戦まで全11戦が行われました。このシーズンは、注目すべき出来事や技術革新が多く、特にジャッキー・スチュワートの圧倒的なパフォーマンスが際立った年となりました。

シーズンの流れと特徴

この年、マトラはワークスチームを撤退し、新たにケン・ティレルと提携しました。ジャッキー・スチュワートは新型マトラ・MS80を駆り、圧倒的なスピードでシーズンをリードしました。MS80は前年のMS10の欠点を大幅に改善したものであり、スチュワートは最終的に63ポイントを獲得し、1969年のチャンピオンに輝きました。これは、フランス製シャシーによる初のタイトル獲得で、F1界においても大きな意義を持つものでした。

一方、シーズン後半にはブラバムのジャッキー・イクスが追い上げを見せ、特にドイツとカナダでの勝利が印象的でした。結果、イクスは37ポイントを獲得し、スチュワートに次ぐ2位となりました。

技術的な挑戦

1969年には、ウィングやサスペンションのトラブルがいくつか発生し、特にウィングはモナコGPから禁止されました。しかしシーズン後半には、サイズと高さに制限を設けた新たな規定とともにウィングの装着が再許可されました。これは、シャシーに直接固定される形での安全性向上にも寄与しました。

また、この年は四輪駆動車への再評価がなされ、イギリスグランプリには4台の四輪駆動車が出場しました。特に、ジョニー・セルボ＝ギャバンは四駆のマトラ・MS84を駆り、カナダGPで6位に入賞し、四輪駆動車によるポイント獲得の歴史を刻みました。ロータスは数年間にわたり四輪駆動の実験を行いましたが、最終的には多くのチームがその考えを放棄しました。

開催地の問題

1969年は、ベルギーグランプリの開催を巡る問題もあった年です。スパ・フランコルシャンでの開催が予定されていましたが、ジャッキー・スチュワートがコースの危険性を指摘したことで、多くのチームがボイコットを決定。最終的にこのレースはカレンダーから外される結果となりました。この事態は、F1の安全基準について多くの議論を呼び起こしました。

まとめ

1969年のF1世界選手権は、ジャッキー・スチュワートの輝かしい勝利、技術的な革新、安全問題といった多くの側面で記憶に残るシーズンとなりました。次シーズンに向けての課題や展望も感じさせる年であったとも言えるでしょう。

もう一度検索