BTR-60

BTR-60について

BTR-60（ロシア語: БТР-60）はソビエト連邦によって開発された装輪式の装甲兵員輸送車であり、1959年に採用されてから、改良が重ねられ、21世紀に至るまで利用され続けている代表的な軍事車両です。BTR-60は、ソビエト軍がこれまでに使用していた装輪式装甲車の中でも、戦術的な要件に応じた最適化された設計が施されています。

開発の背景

この車両の開発は、主に前世代の装輪式装甲車であるBTR-40やBTR-152に対する不満から始まりました。これらの車両は堅実な設計ながらも実戦では「トラックを装甲化しただけ」との評判があり、戦車に匹敵する機動力を求める声が多くありました。加えて、装軌式のBTR-50も開発されたものの、高コストと維持管理の難しさから、大規模な配備には限界がありました。そのため、低コストで十分な能力を持つ装輪式の装甲兵員輸送車の必要性が高まり、BTR-60の開発が始まったのです。

BTR-60の設計と機能

1950年代後半に開発が開始され、特に民間トラックの部品を多く採用することでコスト削減が図られました。ゴーリキー自動車工場（GAZ）とリハチェフ記念工場（ZIL）によって開発されたGAZ-49とZIL-153の中から、GAZ-49が採用された後、最初の型はオープン・トップタイプでした。しかし、核戦争を想定したドクトリンの変更により早々に密閉型のBTR-60PAが開発され、その後BTR-60PBという武装が強化された型が続き、PB型が主力生産型となりました。

この装甲車は、後部にエンジンを配置しており、二つのエンジンを用いた独特な駆動方式を採用しています。この設計により一方のエンジンが故障した場合でも運行が可能ですが、引火する危険性も抱えています。水上航行時にはウォータージェットを用い、水面を移動することもできます。

武装と運用

BTR-60シリーズではSLDP（全周旋回砲塔）が装備され、KPVT 14.5mm重機関銃や同軸のPKT 7.62mm機関銃が搭載されており、攻撃力も確保されています。各型式によって兵員の収容能力や装備は異なるものの、最大で乗員2名と兵員10名を搭載可能です。

派生型と改良

BTR-60シリーズには様々な派生型があり、指揮通信車輌や防空指揮車輌といった特化した車両も存在します。BTR-60PAやBTR-60PBは多くの国に配備され、それぞれ異なる戦略的な役割を果たしています。また、元々ソビエト軍向けに開発されたアルゼンチンやルーマニアのライセンス生産型が存在し、様々な国での運用が行われてきました。

現在の運用状況

BTR-60は、21世紀に入った今も多くの途上国で現役として運用されています。特に中東やアフリカでは、旧ソ連構成国を含む数多くの国で活躍しています。各国でのマシンガン搭載のアプローチや指揮車輌としても改良され続けており、戦場において重要な役割を果たし続けています。

結語

BTR-60は、その汎用性とコストパフォーマンスの高さから、多くの国で広く運用されてきました。新しい戦術や技術の導入が進む中でも、依然としてその存在感を示しており、歴史の中で重要な位置を占める装甲兵員輸送車といえます。

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