BTR-50

BTR-50 水陸両用装甲兵員輸送車

BTR-50は、ソビエト連邦が1950年代に開発した水陸両用の装甲兵員輸送車です。この車両は、主にPT-76水陸両用戦車を基にして設計されており、その特徴的な設計は水上走行能力と地上での優れた走行性能を兼ね備えています。

開発の背景

BTR-50の開発は1952年に始まり、1954年にはソ連地上軍において正式に採用されました。この車両は、スムーズな形状の車体が特徴で、水上では両側に取り付けられた浮き袋を用いて浮力を得る仕組みになっています。推進力は車体後部のハイドロジェットによって提供されます。

運用と課題

BTR-50は、ソビエト連邦軍や東ドイツ国家人民軍で自動車化された狙撃兵連隊に配備されました。しかし、装軌式である故に製造と維持のコストが高く、すべての歩兵部隊をBTR-50で自動車化することは現実的ではありませんでした。これにより後継車両のBTR-60では、コスト削減のために装輪式に戻されました。

また、運用上もBTR-50は使いづらい一面がありました。PT-76の部品を流用した結果、エンジンが車体の後部に配置され、乗降は上部のハッチからのみ行う必要がありました。このため、兵士たちは乗降に苦労し、国内での運用はBMP-1との交代で減少していきました。

余剰となった多くのBTR-50は友好国に輸出され、その頑丈な構造は長い間各国で利用され続けました。特に、指揮統制車仕様はワルシャワ条約機構加盟国で広く採用され、フィンランド国防軍では通信設備のアップグレードも行われています。BTR-50の生産は1970年代まで続き、総生産数は約6,500両に達しました。

派生型

BTR-50にはいくつかの派生型が存在し、それぞれに特化した用途があります。

• - BTR-50P：初期型でオープントップ、固定武装なし。
• - BTR-50PA：車長用キューポラに14.5mmの重機関銃を搭載。
• - BTR-50PK：装甲屋根付きで7.62mmの重機関銃を搭載。
• - BTR-50PU：指揮統制車仕様で、非武装。
• - BTR-50PUM-1：改良型指揮統制車。
• - BTR-50PK(B)：装甲回収車。
• - MTP：装甲工兵車。

国際的な運用と最近の状況

CzechoslovakiaやPolandではBTR-50の近代化改修が行われ、OT-62 TOPASが製造されました。また、中国でもPT-76を基にした77式水陸両用装甲車が開発されています。

2022年に始まったウクライナ侵攻では、ロシアの車両不足によりBTR-50が再度使用され始め、支援任務に投入され、最前線でも活動するようになっています。2024年5月までに、ウクライナでは5台のBTR-50が破壊されたことが確認されています。

BTR-50は、その頑丈さと多様な派生型により、多くの国で利用され続ける歴史のある車両です。

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