BankingWeb21

BankingWeb21について

BankingWeb21（バンキングウェブ21、BW21）は、NECが開発したオープン系勘定系システムのパッケージです。1999年に発表されたこのシステムは、先進的なオブジェクト指向技術を使用しており、コスト削減と効率性を追求しています。全体の開発には200億円以上が投じられ、アメリカ、中国、インド、日本の4カ国で進められました。また、UNIX環境においては、旧住友銀行が開発した運用基盤ミドルウェア「OpenDiosa」を取り入れています。

BankingWeb21は、NECのUNIXサーバーで稼働し、HP-UXオペレーティングシステム、Oracle Database、BEAアプリケーションサーバーを使用しており、非常に柔軟性の高い設計がなされています。日本初のオープン系勘定系システムとして知られ、2003年5月には八千代銀行（現・きらぼし銀行）が初めて稼働を開始しましたが、これが「失敗プロジェクト」としての道を辿ることになるとは想像もされませんでした。

当初、八千代銀行を含む9行がこのシステムの採用を発表していましたが、開発の遅延により八千代銀行の稼働が約2年遅れ、その結果多くの銀行の採用は取りやめになる事態となります。特に、八千代銀行専用のカスタマイズが施されたことや、システム稼働後に障害が発生したことが影響し、2004年からは採用を撤回する銀行が続出しました。NECはこの状況を乗り越えることを目指したものの、解散や合併が相次ぐ中、次第に稼働中の銀行が少なくなっていきました。

2010年には三重銀行（現・三十三銀行）が稼働を開始し、さらには2015年に東京スター銀行が導入されました。しかし、八千代銀行や三重銀行は後に合併によりこのシステムを選択せず、現在稼働しているのは東京スター銀行のみとなっています。

採用状況

• - 稼働中の行:

- 東京スター銀行: 2015年5月6日に稼働を開始。

• - 稼働停止した行:

- 八千代銀行（きらぼし銀行）: 2003年5月4日稼働開始。2018年5月1日に合併しきらぼし銀行が発足。その後、2020年5月6日にシステム統合が行われました。
- 三重銀行: 2010年5月5日に稼働し、2021年5月1日に合併され解散しました。

• - 凍結中の行:

- 沖縄銀行: 2011年1月に採用を発表、2014年に稼働を予定していましたが開発が凍結されました。　

• - 採用撤回:

- 様々な銀行がBankingWeb21の採用を撤回しており、結果として多くの銀行は他のシステムへの移行を余儀なくされています。その一環として、岩手銀行や愛媛銀行、東日本銀行なども他の代替システムに切り替えました。

NECのBankingWeb21は、革新的なシステムとしてスタートしたものの、実際の運用状況においてはさまざまな課題に直面し、その結果としての教訓は今後の技術開発や運用に貴重な資料となることでしょう。

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