Battle.net
Battle.netは、ブリザード・エンターテイメントが運営するオンラインゲームプラットフォームです。1997年1月、アクションRPG『ディアブロ』のリリースに合わせてサービスを開始しました。当時、他のオンラインサービスが外部インターフェースを利用していたのに対し、Battle.netはゲーム内に直接組み込まれた初のオンラインサービスとして登場しました。この革新的なアプローチに加え、アカウント作成の容易さや基本プレイ無料という点が、ゲーマーの間で瞬く間に人気を集め、『ディアブロ』やその後のブリザード作品のセールスを大きく後押ししました。
Battle.netの成功は、他のゲーム会社にも影響を与え、同様のサービスやユーザーインターフェースを模倣したオンラインゲームプラットフォームが多数登場しました。
ディアブロ
1997年のサービス開始当初、Battle.netはチャットやゲームリストといった基本的な機能のみを提供していました。プレイヤーはBattle.netに接続することで、他のプレイヤーと会話したり、『ディアブロ』のマルチプレイヤーモードに参加することができました。当時のBattle.netサーバーには、ユーザーのアカウントデータのみが保存され、ゲームデータは保存されませんでした。そのため、サービスは非常に軽量で動作もスムーズでしたが、一方で、チート行為によってローカルでゲームデータを改ざんすることが可能で、それが瞬く間に広まってしまうという問題点もありました。しかし、プライベートなゲームを作成する機能も提供されていたため、多くのプレイヤーは友人同士での協力プレイを楽しんでいました。
スタークラフト
1998年に『スタークラフト』がリリースされると、Battle.netの利用者は爆発的に増加しました。この時、ランキング機能やゲームフィルタ機能などが新たにサービスとして追加されました。拡張パック『StarCraft: Brood War』のリリースにより、Battle.netのユーザー数はさらに増加しました。特に韓国での利用が急増し、ピーク時にはアメリカ合衆国と同程度の同時接続者数を記録することも珍しくありませんでした。
『スタークラフト』では、新たにCDキーによるコピーガードが導入されました。『ディアブロ』では誰でもBattle.netに接続できましたが、『スタークラフト』では正規のCDキー（製品に付属する13桁の番号）を持つユーザーのみが接続可能となりました。これにより、不正なCDキーを使用した場合、チャット機能が制限されたり、最終的にはアカウントがアクセス禁止となるようになりました。このCDキーシステムは、『スタークラフト』以降のブリザードのゲームすべてに採用されるようになりました。ただし、『StarCraft: Brood War』では、異なるゲートウェイを使用している場合に限り、2人のプレイヤーが同時に接続してプレイすることが可能でしたが、同一のゲームには参加できず、チャットでのコミュニケーションもできませんでした。
Warcraft II: Battle.net Edition
『スタークラフト』の成功を受け、ブリザードは1999年に、既に発売されていたリアルタイムストラテジーゲーム『Warcraft II: Tides of Darkness』に拡張パック『Warcraft II: Beyond the Dark Portal』を同梱し、Battle.netでのオンラインプレイに対応させた『Warcraft II: Battle.net Edition』を発売しました。それ以前は、『Warcraft II』をインターネットでプレイするには、IPXエミュレーターのKaliや、かつて存在したオンラインサービスEngageを利用する必要がありました。新バージョンでは、ランキング機能のほか、Battle.net以外のホストにも対応した機能が搭載されました。
ディアブロII
2000年にリリースされた『ディアブロII』は、Battle.netのあり方を大きく変えることになりました。最大の変更点は、クライアントサーバー型のシステムが導入されたことです。ゲームの処理はユーザーのコンピューターではなくブリザードのサーバー上で行われるようになり、キャラクターデータもBattle.netのサーバーに保存されるようになりました。これにより、チートによるキャラクターの不正な強化がほぼ不可能となりました。ただし、ローカルまたはLAN上で使用していたキャラクターをBattle.netで使用できる機能も残されており、その場合はチートによる強化を完全に防ぐことはできませんでした。また、ゲーム内キャラクターを模したアバターをチャットで使用できる機能や、ゲーム内でキャラクターが死亡すると二度と使用できなくなる「ハードコア」モードも実装され、ハードコアモードでプレイするプレイヤー専用のランキングが設けられました。『ディアブロII』のBattle.net利用者は徐々に増加し、2001年に拡張パック『Diablo II: Lord of Destruction』がリリースされるとさらに増加しました。
Warcraft III
2002年にリリースされた『Warcraft III: Reign of Chaos』と、2003年の拡張パック『Warcraft III: The Frozen Throne』は、Battle.netをサポートする最新のゲームであり、オンラインサービスも大きく強化されました。特に注目すべき機能は、匿名マッチメイキング機能です。この機能を使うことで、プレイヤーはボタン一つで自分と同程度のスキルを持つ他のプレイヤーと自動的にマッチングされ、簡単かつスムーズにゲームを開始することが可能になりました。また、一部のプレイヤーが行っていた、ランキング操作を目的とした八百長行為も防ぐことができるようになりました。さらに、この機能を拡張した「Arranged Teams」と呼ばれるチーム対戦機能も追加されました。これにより、友人同士でチームを組み、同じようなスキルを持つチームと匿名で対戦することが可能になりました。ただし、公平なマッチメイキングを回避する「Abusing」と呼ばれる戦略も登場しました。また、自動トーナメント機能も追加され、1日をかけてトーナメント形式でゲームをプレイし、チャンピオンを決定できるようになりました。
スタークラフト2、ディアブロIII、World of Warcraft
ブリザードは、『スタークラフト2』と『ディアブロIII』もBattle.netでサポートすることを発表しています。また、『World of Warcraft』のアカウントはBattle.netのアカウントと統合することが可能です。
ブリザードは、Battle.netが世界最大のオンラインゲームネットワークであると主張しており、「数百万人のアクティブユーザー」を抱え、オンラインゲーム業界を牽引する存在であると述べています。また、「Xbox Liveでさえ及ばない」とまで評しています。1997年11月には2200万回のゲームプレイを記録し、125万人の異なるユーザーが登録し、1日に平均3500人の新規ユーザーが参加していました。1999年4月には、アクティブユーザー数は230万人に達し、同時接続者数は5万人を超えていたと報告されています。2002年9月にはアクティブユーザー数が1100万人に急増し、2004年9月には1200万人に達し、毎日合計210万時間がオンラインで費やされ、平均で20万人、ピーク時には40万人が同時にプレイしていました。
Battle.netの周辺には、活発なコミュニティが形成されています。非公式のBattle.netクライアントが開発されたり、Battle.net対応ゲームの通信プロトコルが解析され、ボランティアによって公開されています。また、ゲームプレイ中でも友人とのチャットを可能にするツールも開発されています。ブリザード公式のものではないマップを使用したカスタムゲームも普及しており、特に『Warcraft 3』ではタワーディフェンスやヒーローソロマップなどの人気が高いです。
Battle.netの[通信プロトコル]]とゲームは、一部のゲーマーグループによってリバースエンジニアリングされ、GPLライセンスの元、bnetdと呼ばれるBattle.netエミュレーターがリリースされました。bnetdを使用すると、ブリザードのゲームをプレイする際に、公式のBattle.netサーバーを利用する必要がなくなります。これに対し、ブリザードは2002年2月、bnetdの開発者がデジタルミレニアム著作権法]に違反したとして、訴訟を起こすと脅しました。ブリザードは、自社のゲームがBattle.netでのみ動作するように設計されており、海賊版を排除するためにCDキーを使用していると主張しました。bnetdの開発者は、bnetdにブリザードのCDキーをチェックするシステムを組み込むことを提案しましたが、ブリザード側はbnetdのようなソフトウェアが海賊版を容易に生み出すとして、この提案を拒否し、DMCA違反の疑いがあるとしてbnetdプロジェクトを停止させようとしました。電子フロンティア財団もこの問題に関与し、訴訟を避けるための調停が行われましたが、最終的には決裂し、ブリザードが全面勝訴しました。被告は、『スタークラフト』のEULAとBattle.netの利用規約の両方に違反しているとされました。控訴審でも[[2005年9月1日にブリザードが勝訴しました。
現行
Diablo II
Diablo II: Lord of Destruction
Diablo III
Warcraft II: Battle.net Edition
Warcraft III: Reign of Chaos
Warcraft III: The Frozen Throne
StarCraft
StarCraft: Brood War
StarCraft: Remastered
StarCraft II
Destiny 2
Overwatch
限定チャット機能
Diablo Shareware
Diablo Spawn
Diablo
StarCraft Shareware
StarCraft Spawn
Japanese StarCraft（日本語版スタークラフトのベータ版）
Japanese StarCraft Spawn
終了
CHAT (Telnet)
* Diablo II Stress Test (Diablo II の内部アルファ版)
今後の予定
(脚注・出典は省略)
Battle.netの成功は、他のゲーム会社にも影響を与え、同様のサービスやユーザーインターフェースを模倣したオンラインゲームプラットフォームが多数登場しました。
対応ゲームの歴史
ディアブロ
1997年のサービス開始当初、Battle.netはチャットやゲームリストといった基本的な機能のみを提供していました。プレイヤーはBattle.netに接続することで、他のプレイヤーと会話したり、『ディアブロ』のマルチプレイヤーモードに参加することができました。当時のBattle.netサーバーには、ユーザーのアカウントデータのみが保存され、ゲームデータは保存されませんでした。そのため、サービスは非常に軽量で動作もスムーズでしたが、一方で、チート行為によってローカルでゲームデータを改ざんすることが可能で、それが瞬く間に広まってしまうという問題点もありました。しかし、プライベートなゲームを作成する機能も提供されていたため、多くのプレイヤーは友人同士での協力プレイを楽しんでいました。
スタークラフト
1998年に『スタークラフト』がリリースされると、Battle.netの利用者は爆発的に増加しました。この時、ランキング機能やゲームフィルタ機能などが新たにサービスとして追加されました。拡張パック『StarCraft: Brood War』のリリースにより、Battle.netのユーザー数はさらに増加しました。特に韓国での利用が急増し、ピーク時にはアメリカ合衆国と同程度の同時接続者数を記録することも珍しくありませんでした。
『スタークラフト』では、新たにCDキーによるコピーガードが導入されました。『ディアブロ』では誰でもBattle.netに接続できましたが、『スタークラフト』では正規のCDキー（製品に付属する13桁の番号）を持つユーザーのみが接続可能となりました。これにより、不正なCDキーを使用した場合、チャット機能が制限されたり、最終的にはアカウントがアクセス禁止となるようになりました。このCDキーシステムは、『スタークラフト』以降のブリザードのゲームすべてに採用されるようになりました。ただし、『StarCraft: Brood War』では、異なるゲートウェイを使用している場合に限り、2人のプレイヤーが同時に接続してプレイすることが可能でしたが、同一のゲームには参加できず、チャットでのコミュニケーションもできませんでした。
Warcraft II: Battle.net Edition
『スタークラフト』の成功を受け、ブリザードは1999年に、既に発売されていたリアルタイムストラテジーゲーム『Warcraft II: Tides of Darkness』に拡張パック『Warcraft II: Beyond the Dark Portal』を同梱し、Battle.netでのオンラインプレイに対応させた『Warcraft II: Battle.net Edition』を発売しました。それ以前は、『Warcraft II』をインターネットでプレイするには、IPXエミュレーターのKaliや、かつて存在したオンラインサービスEngageを利用する必要がありました。新バージョンでは、ランキング機能のほか、Battle.net以外のホストにも対応した機能が搭載されました。
ディアブロII
2000年にリリースされた『ディアブロII』は、Battle.netのあり方を大きく変えることになりました。最大の変更点は、クライアントサーバー型のシステムが導入されたことです。ゲームの処理はユーザーのコンピューターではなくブリザードのサーバー上で行われるようになり、キャラクターデータもBattle.netのサーバーに保存されるようになりました。これにより、チートによるキャラクターの不正な強化がほぼ不可能となりました。ただし、ローカルまたはLAN上で使用していたキャラクターをBattle.netで使用できる機能も残されており、その場合はチートによる強化を完全に防ぐことはできませんでした。また、ゲーム内キャラクターを模したアバターをチャットで使用できる機能や、ゲーム内でキャラクターが死亡すると二度と使用できなくなる「ハードコア」モードも実装され、ハードコアモードでプレイするプレイヤー専用のランキングが設けられました。『ディアブロII』のBattle.net利用者は徐々に増加し、2001年に拡張パック『Diablo II: Lord of Destruction』がリリースされるとさらに増加しました。
Warcraft III
2002年にリリースされた『Warcraft III: Reign of Chaos』と、2003年の拡張パック『Warcraft III: The Frozen Throne』は、Battle.netをサポートする最新のゲームであり、オンラインサービスも大きく強化されました。特に注目すべき機能は、匿名マッチメイキング機能です。この機能を使うことで、プレイヤーはボタン一つで自分と同程度のスキルを持つ他のプレイヤーと自動的にマッチングされ、簡単かつスムーズにゲームを開始することが可能になりました。また、一部のプレイヤーが行っていた、ランキング操作を目的とした八百長行為も防ぐことができるようになりました。さらに、この機能を拡張した「Arranged Teams」と呼ばれるチーム対戦機能も追加されました。これにより、友人同士でチームを組み、同じようなスキルを持つチームと匿名で対戦することが可能になりました。ただし、公平なマッチメイキングを回避する「Abusing」と呼ばれる戦略も登場しました。また、自動トーナメント機能も追加され、1日をかけてトーナメント形式でゲームをプレイし、チャンピオンを決定できるようになりました。
スタークラフト2、ディアブロIII、World of Warcraft
ブリザードは、『スタークラフト2』と『ディアブロIII』もBattle.netでサポートすることを発表しています。また、『World of Warcraft』のアカウントはBattle.netのアカウントと統合することが可能です。
歴史と規模
ブリザードは、Battle.netが世界最大のオンラインゲームネットワークであると主張しており、「数百万人のアクティブユーザー」を抱え、オンラインゲーム業界を牽引する存在であると述べています。また、「Xbox Liveでさえ及ばない」とまで評しています。1997年11月には2200万回のゲームプレイを記録し、125万人の異なるユーザーが登録し、1日に平均3500人の新規ユーザーが参加していました。1999年4月には、アクティブユーザー数は230万人に達し、同時接続者数は5万人を超えていたと報告されています。2002年9月にはアクティブユーザー数が1100万人に急増し、2004年9月には1200万人に達し、毎日合計210万時間がオンラインで費やされ、平均で20万人、ピーク時には40万人が同時にプレイしていました。
コミュニティ
Battle.netの周辺には、活発なコミュニティが形成されています。非公式のBattle.netクライアントが開発されたり、Battle.net対応ゲームの通信プロトコルが解析され、ボランティアによって公開されています。また、ゲームプレイ中でも友人とのチャットを可能にするツールも開発されています。ブリザード公式のものではないマップを使用したカスタムゲームも普及しており、特に『Warcraft 3』ではタワーディフェンスやヒーローソロマップなどの人気が高いです。
論争
Battle.netの[通信プロトコル]]とゲームは、一部のゲーマーグループによってリバースエンジニアリングされ、GPLライセンスの元、bnetdと呼ばれるBattle.netエミュレーターがリリースされました。bnetdを使用すると、ブリザードのゲームをプレイする際に、公式のBattle.netサーバーを利用する必要がなくなります。これに対し、ブリザードは2002年2月、bnetdの開発者がデジタルミレニアム著作権法]に違反したとして、訴訟を起こすと脅しました。ブリザードは、自社のゲームがBattle.netでのみ動作するように設計されており、海賊版を排除するためにCDキーを使用していると主張しました。bnetdの開発者は、bnetdにブリザードのCDキーをチェックするシステムを組み込むことを提案しましたが、ブリザード側はbnetdのようなソフトウェアが海賊版を容易に生み出すとして、この提案を拒否し、DMCA違反の疑いがあるとしてbnetdプロジェクトを停止させようとしました。電子フロンティア財団もこの問題に関与し、訴訟を避けるための調停が行われましたが、最終的には決裂し、ブリザードが全面勝訴しました。被告は、『スタークラフト』のEULAとBattle.netの利用規約の両方に違反しているとされました。控訴審でも[[2005年9月1日にブリザードが勝訴しました。
Battle.net対応ゲーム一覧
現行
Diablo II
Diablo II: Lord of Destruction
Diablo III
Warcraft II: Battle.net Edition
Warcraft III: Reign of Chaos
Warcraft III: The Frozen Throne
StarCraft
StarCraft: Brood War
StarCraft: Remastered
StarCraft II
Destiny 2
Overwatch
限定チャット機能
Diablo Shareware
Diablo Spawn
Diablo
StarCraft Shareware
StarCraft Spawn
Japanese StarCraft（日本語版スタークラフトのベータ版）
Japanese StarCraft Spawn
終了
CHAT (Telnet)
* Diablo II Stress Test (Diablo II の内部アルファ版)
今後の予定
(脚注・出典は省略)
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。