Brain (電子辞書)

シャープ電子辞書「Brain」

「Brain（ブレーン）」は、シャープが展開する電子辞書ブランドです。2008年7月に登場して以来、学生向けからビジネス向けまで幅広いモデルをリリースし、多くのユーザーに利用されています。

特徴

Brainシリーズの大きな特徴として、一部機種にカラーメイン画面とモノクロタッチパッド（バックライト付き）の組み合わせが挙げられます。2008年11月発売のPW-TC980からは、メイン画面もペンタッチに対応した「Wタッチパネル」が導入されました。

初期のモデルにはワンセグチューナーを搭載した製品もありましたが、PW-TC980以降は新機種が登場していません。

2020年までのモデルは、Windows Embedded CE 6.0をベースとしたOSが採用されていました。これにより、インターネット上の公式サイト「ブレーンライブラリー」を通じてコンテンツの購入や追加が可能でした。

ほとんどの機種にはmicroSDメモリーカードスロットが装備されており、別売りの電子辞書コンテンツカードを挿入することで、本体に収録されていない辞書を追加できます。2013年発売のPW-GX300まではmicroSDのみの対応でしたが、2014年以降はmicroSDHCにも対応し、コンテンツカードの容量も増加しました。2018年モデルではmicroSDXCにも対応しましたが、2021年モデルではmicroSDHC対応（microSDXC非対応）に変更されました。

競合機種であるカシオ計算機のエクスワードが独自OSを採用しているのに対し、Brainは2020年モデル以前はWindows CEベースの共通OSを採用していました。そのため、インターネット上で対応ソフト（PDF閲覧ソフト、テキスト編集ソフト、表計算ソフトなど）を容易に入手・自作することができました。

コンパクトモデルや学習ツールを除き、世代によって品番ルールが異なります。2010年までは半年に一度モデルチェンジが行われていましたが、2011年以降は年一回のモデルチェンジとなりました。

2008年モデル～2010年モデル：ワンセグ対応モデル「TC」、生活・教養モデル「AC」、学生向けモデル「GC」の3シリーズが展開され、グレードや世代を示す3桁の数字が続きます。2010年からはコンパクトモデルにもこの品番ルールが用いられるようになり、2011年以降はコンパクトモデルのシリーズ名を指すようになりました。
2011年モデル～2013年モデル：生活・教養モデルは「A」、学生向けモデルは「G」に改名され、4桁の数字が続きます。ビジネス向けモデルや中学生向けモデルも登場しましたが、それぞれ「A」シリーズの上位機、「G」シリーズの下位機という位置づけでした。
2014年モデル～2020年モデル：生活・教養モデルは「SA」、高校生向けモデルは「SH」、ビジネス向けモデルは「SB」、中学生向けモデルは「SJ」と細分化され、世代を示す1桁の数字が続きます。
2018年モデル～2020年モデル：非公式アプリの起動が制限された他、生活・教養モデルが「AA」、中学生向けモデルが「AJ」に移行しました。高校生向けモデルとビジネス向けモデルは従来通りの「SH」「SB」です。
2021年モデル～：OSが独自のものになり、生活・教養モデルは「A」に回帰し、高校生向けモデルは「H」、英語強化モデルは「S」、大学生・ビジネス向けモデルは「B」、中学生向けモデルは「J」となりました。

従来、Brainはカラー液晶搭載モデルが中心でしたが、2015年8月には初のモノクロ液晶モデル（PW-NA1/NK1）が発売されました。

主な機種

Brainシリーズには、以下のような様々な機種が存在します（☆印は2021年3月時点で発売されているモデル）。

大学生・ビジネス向け

PW-A9000（2011年1月発売）：Brain初のビジネスモデル。140コンテンツを収録。
PW-A9200（2012年1月発売）：「なめらかフォント」や「全文検索機能」を搭載。130コンテンツを収録。
PW-A9300（2013年1月発売）：6つのジャンルに分けられたホーム画面を採用。ビジネス関連コンテンツが充実。130コンテンツを収録。
PW-SB1（2014年2月発売）：「360°オープンデザイン」を採用。120コンテンツを収録。
PW-SB2（2015年2月発売）：「あいまいチェック」や音声入力機能を追加。120コンテンツを収録。
PW-SB3（2016年1月発売）：5.5型WVGA+カラー液晶を採用。3000冊の文学作品を収録。
PW-SB4（2017年1月発売）：キーボードを改良し、「英作ボード」や「自動英単語帳」を搭載。
PW-SB5（2018年1月発売）：ホーム画面を改良し、軽量化を実現。「Brain Learning」機能を追加。
PW-SB6（2019年1月発売）：お気に入り機能を新搭載。
PW-SB7☆（2020年1月発売）:「復習テスト」の出題設定が可能に。『OXFORD現代英英辞典』や『大辞林』を最新版に更新。
PW-B1☆（2021年2月発売）：リスニング機能を強化。「ステップリスニング」を採用。コンテンツ履歴機能を追加。

学生向け（高校生）

PW-GC590（2009年1月発売）：高校生向け初の100コンテンツ搭載モデル。
PW-GC610（2010年1月発売）：代々木ゼミナールの動画教材を追加可能。
PW-G5000（2011年1月発売）：130コンテンツ、160本の動画を収録。
PW-G5100（2011年8月発売）：『歴検チャレンジ!』や英文法参考書を収録。
PW-G5200（2012年1月発売）：「なめらかフォント」や「全文検索機能」を搭載。
PW-G5300（2013年1月発売）：6つのジャンルに分かれたホーム画面を採用。165コンテンツを収録。
PW-SH1（2014年2月発売）：「360°オープンデザイン」を採用。160本の動画を収録。
PW-SH2（2015年1月発売）：「あいまいチェック」や音声入力機能を追加。
PW-SH3（2016年1月発売）：5.5型WVGA+カラー液晶を採用。3000冊の文学作品を収録。
PW-SH4（2017年1月発売）：キーボードを改良し、「英作ボード」や「自動英単語帳」を搭載。170コンテンツを収録。
PW-SH5（2018年1月発売）：ホーム画面を改良し、軽量化を実現。245コンテンツを収録。
PW-SH6☆（2019年1月発売）：英文法書を収録。260コンテンツを収録。
PW-SS6（2019年1月発売）：英語コンテンツを強化したモデル。280コンテンツを収録。
PW-SH7☆（2020年1月発売）：「暗記ツール」を新搭載。『OXFORD現代英英辞典』や『大辞林』を最新版に更新。
PW-SS7☆（2020年1月発売）：英語コンテンツをさらに強化したモデル。280コンテンツを収録。
PW-H1☆（2021年2月発売）：発音練習アプリを搭載。241コンテンツを収録。
PW-S1☆（2021年2月発売）：英語関連コンテンツを強化したモデル。280コンテンツを収録。

学生向け（中学生）

PW-G4000（2011年1月発売）：中学生向けモデル。110コンテンツ、100本の動画を収録。
PW-G4200（2012年1月発売）：「なめらかフォント」や「全文検索機能」を搭載。110コンテンツを収録。
PW-SJ1（2014年2月発売）：「360°オープンデザイン」を採用。120コンテンツ、1006本の漢字筆順動画を収録。
PW-SJ2（2015年1月発売）：「あいまいチェック」や音声入力機能を追加。
PW-SJ3（2016年2月発売）：5.5型WVGA+カラー液晶を採用。3000冊の文学作品を収録。
PW-SJ4（2017年2月発売）：キーボードを改良し、「英作ボード」や「自動英単語帳」を搭載。105コンテンツを収録。
PW-SJ5（2018年2月発売）：ホーム画面を改良し、軽量化を実現。135コンテンツを収録。
PW-AJ1（2018年10月発売）：キーボードトレーニング機能を追加。150コンテンツを収録。
PW-AJ2☆（2019年10月発売）:「英作ボード スピーキングプラス」を搭載。150コンテンツを収録。
PW-J1☆（2021年2月発売）：発音練習アプリを搭載。自動単語帳にテスト設定機能を追加。一部コンテンツを最新版に更新。

学習ツール

PW-GX500（2012年8月発売）：タブレット型で、タッチペンで操作が可能。学習動画を収録。
PW-GX300（2013年1月発売）：「ATR CALL for Brain」を搭載。

生活・教養向け

PW-AC880（2008年8月発売）：初代モデル。100コンテンツを収録。
PW-AC830（2008年8月発売）：廉価モデル。40コンテンツを収録。
PW-AC890（2009年1月発売）：「Wタッチパネル」に対応。
PW-AC900（2009年7月発売）：「英単語サッと手書き入力」機能を追加。
PW-AC910（2010年1月発売）：100本の動画コンテンツを収録。
PW-AC920（2010年8月発売）：模擬テストやビジネス用語辞典を収録。
PW-A7000（2011年1月発売）：5.6型タッチパネルを搭載。120コンテンツを収録。
PW-A7200（2012年1月発売）：「なめらかフォント」や「全文検索機能」を搭載。100コンテンツを収録。
PW-A7300（2012年11月発売）：『六訂版 家庭医学大全科』を搭載。100コンテンツ、109本の動画を収録。
PW-A7400（2013年6月発売）：趣味関連コンテンツを充実。
PW-SA1（2014年2月発売）：「360°オープンデザイン」を採用。5.2型WVGA液晶を搭載。100コンテンツを収録。
PW-SA2（2015年2月発売）：「あいまいチェック」や音声入力機能を追加。使用時間が向上。
PW-SA3（2016年2月発売）：5.5型WVGA+カラー液晶を採用。「フレキシブルタッチキー」を搭載。
PW-SA4（2017年2月発売）：キーボードを改良し、「英作ボード」や「自動英単語帳」を搭載。
PW-SA5（2018年2月発売）：ホーム画面を改良し、軽量化を実現。130コンテンツを収録。
PW-AA1（2018年10月発売）：キーボードトレーニング機能を追加。150コンテンツを収録。
PW-AA2☆（2019年10月発売）：旅ノート機能を搭載。
PW-A1☆（2021年2月発売）：暗記ツールを搭載。自動単語帳にテスト設定機能を追加。

ワンセグ対応

PW-TC980（2008年12月発売）：ワンセグチューナー内蔵モデル。

コンパクトモデル

PW-AC110（2010年2月発売）：小型・軽量モデル。4.3型ワイド液晶を搭載。
PW-AC10（2010年8月発売）：業界最軽量のカラー液晶モデル。
PW-AC20（2011年2月発売）：TOEIC対策に特化したモデル。
PW-AC40（2011年7月発売）：韓国語対応モデル。
PW-AC30（2011年7月発売）：中国語対応モデル。
PW-GC50（2012年1月発売）：コンパクトモデル初の高校生向けモデル。
PW-AC11（2012年6月発売）：旅行モデル。
PW-AC21（2012年6月発売）：TOEICテスト対策モデル。
PW-NA1☆（2015年8月発売）：モノクロ液晶モデル。
PW-NK1☆（2015年8月発売）：50音順キー配列のモノクロ液晶モデル。

純正ケース

Brain専用の純正ケースも用意されています。初期モデルのOZ-273は縦型でマジックテープ式でしたが、2代目モデルのOZ-300は横型でファスナー式となり、ケースに入れたままでの使用が可能になりました。

Windows CE用アプリケーションについて

Brainのカラー液晶モデルには、Windows Embedded CE 6.0が搭載されており、他のWindows Embedded CE搭載機器向けのソフトが利用できる場合があります。ただし、Brainは必要最低限の機能のみに絞って搭載しているため、多くのアプリケーションが利用できない場合があります。

関連項目

Papyrus (電子辞書)
DAYFILER - SII製の電子辞書で、Androidアプリを使用できる。
Brainux - Brainで動作する、Debian GNU/Linux系ディストリビューション。

外部リンク

電子辞書：シャープ
ブレーンライブラリー
ASCII.jp：シャープの電子辞書が「ザウルス」になる？ | 西田 宗千佳のBeyond the Mobile
* Brain Wiki（非公式）

もう一度検索