C級駆逐艦 (2代)

C級駆逐艦について

C級駆逐艦は、イギリス海軍が1929年から1930年にかけて建造した駆逐艦の艦級です。この艦級は、先行するB級駆逐艦を基に設計されており、航続距離の延伸を目的として若干の大型化が図られました。C級は全部で5隻が建造され、ネームシップである「クルセーダー」にちなんで、クルセーダー級と呼ばれることもあります。

開発の経緯

イギリス海軍は、第一次世界大戦後の1924年から駆逐艦の建造を再開しました。まず、改W級駆逐艦を基に「アマゾン」と「アンバスケイド」を建造し、戦訓や新技術を導入しました。その後、量産型としてA級、小改正型のB級が建造されました。C級は、B級をベースに燃料搭載量の増加を図ったもので、1929-30年度計画で建造されました。

設計の特徴

C級駆逐艦の設計は、B級駆逐艦をわずかに大型化したものです。船首楼型、2本煙突という基本構成や艦内の配置は踏襲されました。しかし、C級では前後の燃料タンクを隣接させ、燃料の積込みと移送を効率化しました。艦橋構造も洗練され、羅針艦橋の後部に方位盤射撃塔と測距儀塔が装備されました。

機関構成はA級、B級と同様ですが、艦の大型化に伴い、機関出力は34,000馬力から36,000馬力に増強されました。ボイラーは海軍本部設計のアドミラルティ式3胴型水管ボイラーを採用し、蒸気性状は圧力300 lbf/in2、温度315.5℃でした。タービンはパーソンズ式オール・ギヤード・タービンで、巡航タービンは高圧タービン内に組み込まれました。

装備について

C級駆逐艦の艦砲は、A級、B級と同様に45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）を4門搭載しました。当初、2番砲に高角砲を兼用できる砲架を予定していましたが、試験結果が不良だったため実現せず、標準的な平射砲架となりました。大日本帝国海軍の吹雪型駆逐艦に対抗して、50口径13cm砲の搭載試験も行われましたが、重量過大のため4.7インチ砲に換装されました。

対空兵器としては、新開発の12.7mm4連装機銃の搭載が計画されましたが、開発遅延のため、在庫品の40mm単装機銃が搭載されました。後に、40mm機銃の4連装砲架が試験的に搭載され、成功を収めました。

水雷兵器は、21インチ魚雷発射管を4連装2基搭載しました。魚雷はMk.IVが搭載され、後にMk.IXに更新されました。対潜兵器も搭載され、掃海具も装備されました。ただし、爆雷の搭載量はB級よりも少なくなりました。

第二次世界大戦勃発後、生き残った艦は護衛駆逐艦として改装され、防空火力を強化するために70口径20mm機銃を6門搭載しました。また、45口径12cm砲1門を撤去し、ヘッジホッグ対潜迫撃砲を搭載、爆雷搭載数を125発に増加させました。

同型艦について

当初計画では、嚮導艦と8隻の建造が予定されていましたが、財政緊縮により嚮導艦と4隻に削減されました。1937年から38年にかけて、全艦がカナダに譲渡されました。第二次世界大戦では、5隻全てがカナダ海軍の指揮下で、主に北大西洋での船団護衛任務に従事しました。大戦中に2隻が戦没し、生き残った3隻も戦後間もなく解体されました。

C級駆逐艦は、その設計と運用を通じて、イギリス海軍の駆逐艦戦力において重要な役割を果たしました。特に第二次世界大戦中には、船団護衛という重要な任務を担い、その戦没艦も少なくないながら、その貢献は大きく、海戦史に名を残しています。

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