C-119 (航空機)

フェアチャイルド C-119 フライング・ボックスカー

フェアチャイルド C-119 フライング・ボックスカーは、アメリカのフェアチャイルド社が開発した軍用輸送機で、その名の通り「空飛ぶ有蓋貨車」として知られています。これは、貨物を効率的に輸送するための多用途な航空機であり、特に戦時中にその重要性を発揮しました。

機体の概要

C-119は、先代のC-82 パケットを基に改良されており、外観は似ていますが、いくつかの改良が施されています。特に、操縦室は前方の低い位置に移動し、エンジン性能も向上、また垂直尾翼の再設計も行われました。量産型では、胴体が少し広がり、搭載能力が増加しました。

胴体の後部には、左右に開くカーゴドアが装備され、大型貨物の積載が容易になっています。ただし、機体が空中にある際にはドアの開閉ができず、物資を空中に投下する場合は事前にカーゴドアを取り外す必要がありました。試作機であるXC-119AはC-82を改良したもので、評価試験の結果、C-119Bとして正式に採用されました。C-119は1955年まで生産され、総生産数は1,183機に達しました。

戦場での活躍

この輸送機は、アメリカ空軍の主力輸送機の一翼を担い、朝鮮戦争やベトナム戦争などで実際に使われました。また、武装改造を行いガンシップとしても運用されたことがあります。そのため、多様な任務に対応できる万能機としての評価が高く、航空機の曲技飛行隊、サンダーバーズの支援機としても利用されたことがあります。

さらに、C-119は多くの友好国にも配備され、インド空軍では高温・高地環境対応のために、背部にジェットエンジンを追加装備する特別な改造を施された機体も存在します。アメリカ国内では1970年代にその運用を終了しましたが、台湾の空軍では1997年までサービスを継続しました。

派生型

C-119にはいくつかの派生型があります。主なものを以下に示します。

• - XC-119A: 試作型。
• - C-119B: 初期の量産型で、プラット・アンド・ホイットニー製R-4360エンジンを搭載、55機が生産されました。
• - C-119C: 尾部に一部改良が施され、303機が製造され、アメリカ海軍と海兵隊ではR4Q-1と呼ばれました。
• - C-119F: エンジンをライトR-3350に変更し、256機生産、海軍ではR4Q-2の名称を持ちます。
• - C-119G: 最も多く製造された型で、480機が生産され、プロペラが変更されています。
• - C-119J: F/G型のカーゴドアを改修したモデルで、62機が改修されました。
• - EC-119J: 人工衛星追跡機。
• - C-119K: 主翼下にゼネラル・エレクトリック製J85ターボジェットエンジンを装備した型。
• - AC-119G シャドウ/AC-119K スティンガー: 武装された航空支援に特化した改造機です。

運用国

C-119は、次の国々でも運用されました:

• - ベルギー
• - ブラジル
• - カンボジア
• - カナダ
• - 台湾
• - エチオピア
• - フランス
• - インド
• - イタリア
• - ヨルダン
• - モロッコ
• - ノルウェー
• - スペイン
• - ベトナム共和国
• - 国際連合
• - アメリカ合衆国

基本スペック (C-119G)

• - 全長: 26.37 m
• - 全幅: 33.30 m
• - 全高: 8.03 m
• - 翼面積: 130.06 m²
• - 空虚重量: 18,136 kg
• - 最大離陸重量: 33,747 kg
• - エンジン: ライト R-3350-89W 星型エンジン（3,400馬力）×2
• - 最大速度: 476 km/h（高度17,000 ft）
• - 巡航速度: 322 km/h
• - 航続距離: 3,669 km（標準搭載燃料時）
• - ペイロード: 空挺隊員62名
• - 乗員: 5名

このように、C-119 フライング・ボックスカーは、その性能と利便性から長期間にわたり多様な任務に従事し、多くの国で愛用されてきました。

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