C15TA装甲トラック

C15TA装甲トラック：戦後世界を駆け抜けたカナダ製装甲車

C15TA装甲トラックは、第二次世界大戦中にカナダで製造された装輪装甲車です。アメリカ軍のM3スカウトカーの設計思想を受け継ぎ、ゼネラルモーターズ・カナダによって開発されました。シボレー製のC15 CMPトラックの車体をベースに、1943年から1945年にかけてオンタリオ州オシャワで3,961両が生産されました。装甲板はハミルトン橋梁会社が製造・供給しました。

北西ヨーロッパ戦線での活躍と戦後の遍歴

C15TA装甲トラックは、主に北西ヨーロッパ戦線においてイギリス軍とカナダ軍によって運用されました。装甲兵員輸送車や救急車として、その役割を果たしました。戦争終結後、多くの車両がヨーロッパに残されました。ベルギー、デンマーク（M6モセグリスと改名）、オランダ（約396両）、ノルウェーなど、多くのヨーロッパ諸国の軍隊でその後も長く使用されました。さらに、約150両がカナダからスペインに売却されています。

興味深いことに、イギリス軍によってベトナムに残されたC15TA装甲トラックの一部は、フランスによって購入され、フランス領インドシナで使用された後、南ベトナム軍に譲渡されました。また、マラヤ連邦の警察部隊にも多数の車両が配備されました。1955年にはポルトガルがC15TA装甲トラックを取得し、1961年に勃発したアフリカ戦争にも投入されました。ポルトガル軍では、これらの車両は「グラナデイロス」（擲弾兵）として知られていました。

生産数と運用期間

合計948両が生産されたとされるC15TA装甲トラックですが、少数の車両は1960年代まで現役で運用されていました。その頑丈な設計と汎用性の高さから、第二次世界大戦後も長きにわたって世界中で使用され続けたことがわかります。

C15TA装甲トラックの技術的特徴

C15TA装甲トラックは、既存の商用トラックをベースに開発されたため、比較的簡素な構造を持っていました。しかし、その簡素さゆえに信頼性が高く、整備も容易であったと考えられます。装甲は比較的薄かったものの、当時の軽装甲車としては十分な防御力を備えていたとされています。また、様々な用途に改造できる柔軟性も持ち合わせていました。

歴史的意義

C15TA装甲トラックは、第二次世界大戦という激動の時代を生き抜き、戦後も世界各地で活躍した車両です。その歴史は、単なる兵器としての役割を超え、国際的な政治や軍事情勢の変化を反映する歴史的証言となっています。C15TA装甲トラックの遍歴は、20世紀の戦後世界における軍事技術と地政学の変遷を理解する上で、貴重な資料となるでしょう。

参考文献

И. Мощанский - Бронетанковая техника Великобритании 1939-1945 часть 2, Моделист-Конструктор, Бронеколлекция 1999-02 (I. Moschanskiy - Armored vehicles of the Great Britain 1939-1945 part 2, Modelist-Konstruktor, Bronekollektsiya 1999-02)
MapleLeafup.org
H.L. Spoelstra - ウェイバックマシン（2003年5月2日アーカイブ分）
C15TA aka mosegris

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