CAB

CAB（キャビネット）は、主にMicrosoft Windows環境で利用されるデータ圧縮ファイル形式の一つです。その名称は、英語の「Cabinet（キャビネット）」に由来します。CABファイルは、ActiveXの自動ダウンロードやWindows Installerなど、様々なシステムコンポーネントで標準的に採用されています。

CABファイルの主な特徴として、高い圧縮率が挙げられます。これは、従来の圧縮形式であるLHAなどと比較して優れており、より小さなファイルサイズでデータを格納できます。この特性から、汎用的なデータ圧縮形式としても利用されることがあります。さらに、CABファイルはアーカイブファイルに署名を付与できるというユニークな特徴を持っています。これにより、ファイルの改ざんを検出し、セキュリティを向上させることができます。

CABファイルの圧縮アルゴリズムには、主にMicrosoftが独自に改良したMSZipとLZXの2種類があります。LZXはMSZipよりも高い圧縮率を実現しますが、処理速度はMSZipに比べて遅くなります。そのため、用途に応じて適切なアルゴリズムを選択する必要があります。

特に、Windows CEプラットフォーム（Windows Mobile、Pocket PC、Handheld PCなど）においては、CABファイルはアプリケーションインストーラの標準コンテナとして広く利用されています。これらのプラットフォームでは、.CABファイルの関連付けは、アーカイバプログラムではなくインストーラの起動に設定されており、ユーザーはCABファイルを直接操作する代わりに、インストーラを介してアプリケーションをインストールします。

Win32 APIでは、SetupIterateCabinet()関数を用いてCABファイルを展開することができます。これにより、プログラムからCABファイルにアクセスし、内部のデータを取り出すことが可能になります。

関連技術として、ZIP、7-Zip、LHA、DGCA、GCA、RARなどが挙げられます。これらのファイル形式は、同様にデータ圧縮やアーカイブを行うために利用されます。


CABファイルは、その高い圧縮率と署名機能により、Windows環境における重要なデータ圧縮形式として、幅広く活用されています。特に、システム関連のファイルやアプリケーションの配布において、重要な役割を果たしています。

CABファイルは、拡張子として".cab"を持ちます。関連情報としては、Microsoftの公式サイトや技術ドキュメントを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。

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