CASIOPEA LIVE

『CASIOPEA LIVE』（カシオペア・ライブ）

日本のフュージョン界を牽引してきたバンド、カシオペアが世に送り出したライブ映像作品、そしてライブ・アルバムが『CASIOPEA LIVE』です。本作は、1985年4月27日に東京の両国国技館で開催された彼らの記念碑的なライブパフォーマンスを収めたものです。カシオペアの公式なライブ作品としては、『THUNDER LIVE』、『MINT JAMS』に続く通算3作目にあたります。この両国国技館でのライブは、当時のカシオペアの卓越した演奏能力と、観客を熱狂させるステージングの記録として、バンドの歴史において特筆すべき出来事でした。

多様なメディアでのリリースと変遷

『CASIOPEA LIVE』は、まず1985年9月25日に、映像作品としてレーザーディスクの形式でリリースされました。当時の最新メディアであるレーザーディスクにより、両国国技館のステージで繰り広げられた迫力ある演奏シーンが、鮮明な映像と共に届けられました。その直後となる同年12月21日には、アルファレコードからライブ音源を収めたCDアルバムとしてもリリースされ、映像だけでなく音源としても広くファンに届けられることとなります。

時代が進むにつれて、本作は新たなメディアでの再発も重ねています。2000年には、DVD作品「CASIOPEA LIVE HISTORY PART-I」の一部として収録され、再び手軽に映像を楽しむことができるようになりました。さらに、音楽フォーマットの進化に伴い、2016年7月27日には、オリジナルマスターテープからの高品位なリマスタリングが施されたハイレゾ音源版もリリースされています。これにより、より一層クリアでダイナミックなサウンドで、この伝説的なライブを追体験することが可能となりました。このように、『CASIOPEA LIVE』は様々なメディア形態を経て、今なお多くの音楽愛好家に親しまれています。

1985年両国国技館ライブの記録

本作に収録されているのは、日本の国技である大相撲の主要な開催場所としても知られる両国国技館にて、1985年4月27日に行われたカシオペアのライブの模様です。この時期のカシオペアは、その高度なテクニックとキャッチーなメロディセンスで国内外での評価を確固たるものにしており、その人気は頂点に達しようとしていました。両国国技館という、音楽ライブとしては当時としては異例とも言える大会場での公演は、その高い人気と実力を証明するものでした。

ライブでは、バンドがこれまでに発表してきたアルバムから選りすぐられた名曲群が披露されました。スリリングなインタープレイ、息をのむような各メンバーのソロパフォーマンス、そして会場全体が一体となった熱狂的な雰囲気は、まさにカシオペアのライブの真髄を示すものでした。特に映像版では、メンバーそれぞれの演奏中の集中した表情や、ステージングのダイナミズムを視覚的に捉えることができ、当時のライブの臨場感をより鮮烈に感じ取ることができます。この両国国技館ライブは、前作『MINT JAMS』以来のライブ作品であり、バンドの歩みにおける重要なマイルストーンの一つとして位置づけられています。

参加メンバー

この記念すべきライブのステージに立ったのは、当時のカシオペアを構成する以下の4名の凄腕ミュージシャンたちです。彼らの不動のチームワークと個々の突出した才能が、両国国技館での圧巻のパフォーマンスを支えました。

野呂一生 - エレクトリックギター
当時の使用機材例：YAMAHA Issei Model, SG-3000 Fretless
向谷実 - キーボード
当時の使用機材例：YAMAHA KX-88, TX-816, DX-7, ROLAND VP-330
櫻井哲夫 - ベース
当時の使用機材例：YAMAHA Tetsuo Model 5 strings bass
神保彰 - ドラム
当時の使用機材例：YAMAHA YD-9000RG & RD, Zildjan Symbals, Simmons SDS-5, Amdek Percussion Synthesizer

野呂一生の表現力豊かなギターワーク、向谷実の緻密で色彩感あふれるキーボードプレイ、櫻井哲夫の圧倒的な存在感を放つベースライン、そして神保彰の革新的かつ正確無比なドラミング。この4人が織りなすアンサンブルは、一糸乱れぬ正確さと同時に、予測不能な創造性に満ちており、聴く者すべてを惹きつけました。

制作に携わった人々

本作のプロデューサーは、頭山慎一 (Shinichi Tohyama) 氏が担当しました。また、後年にリリースされた2016年のハイレゾ音源版におけるリマスタリング作業は、鈴木浩二氏によって手掛けられています。

『CASIOPEA LIVE』は、カシオペアというバンドが持つ、ライブでこそ発揮される真価を捉えた貴重な記録であり、彼らの豊かな音楽性とパフォーマンススキルを知る上で欠かせない作品です。日本のフュージョン史においても、重要なライブ作品としてその名を刻んでいます。

もう一度検索