CIE図書館

CIE図書館について

CIE図書館（SCAP CIE Information Center Library）は、第二次世界大戦後に連合国軍総司令部（GHQ/SCAP）の民間情報教育局（CIE）が設置した、日本各地に広がる図書館です。この図書館群は、日本国民の民主化を促進し、アメリカ文化への理解を深める役割を果たしました。また、日本の公共図書館の近代化にも寄与しました。CIE図書館は1945年から1952年にかけて日本国内23か所に開設され、戦前の図書館制度とは異なる新しい形のライブラリーが提供されました。

設立の背景

CIE図書館の設立は、1945年8月のポツダム宣言受諾後に始まりました。この時期、日本は連合国軍の占領下にあり、GHQは国内の民主化や様々な改革を推進していました。CIEの目的は、民主主義の普及や国家主義の排除などであり、図書館政策を担当する官僚も置かれていました。初代館長のフィリップ・O・キーニーなどがその職に就き、各地の図書館の運営が進められました。

日本国内での図書館設置は珍しいことではなく、GHQは他国でも同様の活動を行っていました。CIE図書館は、特に教育改革の一環として、多様な情報源を提供する重要な施設となりました。1946年にはCIEが刊行した『日本の教育』で、CIE図書館の目的として日本人に国際関係やアメリカの慣習についての知識を提供することが挙げられています。

設立と拡大

最初のCIE図書館は、1945年に東京に設置され、1946年には一般開放されました。その後、京都や名古屋を含む複数の都市にCIE図書館が開設され、最終的には23か所に達しました。各館はアメリカ style と 最新の図書を提供し、開架式での閲覧方式を採用。これにより、利用者は自由に本を取って閲覧することができるようになりました。このシステムは、戦後の日本における公共図書館のモデルとなりました。

閉鎖とその後

1952年、サンフランシスコ講和条約の発効により、日本の占領が終結するとともに、CIE図書館も閉鎖されました。多くの図書館はアメリカ文化センター（ACC）に改称され、図書館としての機能から、広報活動に重きを置く施設へと変貌しました。このように、CIE図書館は時代の変化とともにその役割を変え、最終的には地域の公共図書館に統合されたり、閉鎖されたりしました。

設備とサービス

各CIE図書館では、4,000冊以上の本が揃えられ、多種多様なサービスが提供されました。レファレンスサービスや児童向けのプログラム、英会話教室、映画会など、多岐にわたるイベントも開催され、多くの利用者が訪れました。特に、理工系の資料や欧米のファッション情報は人気で、多くの学生や研究者がその恩恵を受けました。

CIE図書館は、入館手続きが不要で、無料で開放されているため、さまざまな人々が利用しました。学生はもちろんのこと、商業や文化活動に関心のある市民も多く、利用者は常に賑わっていました。このように、CIE図書館は日本の戦後文化において重要な役割を果たしていたのです。

利用状況

設立当初の東京CIE図書館では、1日あたり1,200人以上が来館しており、その多くが学生でした。利用者層は多岐にわたり、若い研究者や主婦、学生などが訪れていました。彼らはCIE図書館で新しい情報を得ることで、自らの学びやビジネスに役立てていました。著名な利用者には小説家の大江健三郎や精神科医の中井久夫などがいて、CIE図書館での経験が彼らの活動にも影響を与えたと言われています。

まとめ

CIE図書館は、戦後日本において民主化とアメリカ文化の理解を促進するために設立されました。設立当初から多くの人々に利用され、さまざまな形で日本の公共図書館に影響を与えました。時代の流れとともにその役割は変わりましたが、CIE図書館が果たした意義は今なお評価されています。

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