CLV

CLV（線速度一定）とは

CLV（Constant Linear Velocity）は、ディスクメディアの制御方式の一つで、線速度を一定に保つ技術です。具体的には、ディスクの記録密度を内周部と外周部で均一にすることで、ディスク全体を効率的に利用し、大容量のデータ記録を可能にします。CD、DVD、Blu-ray Discなど、大容量のデータを一定速度で読み出す用途によく用いられています。

CLVの仕組み

CLVでは、ディスクの内周部から外周部まで記録密度を一定に保つため、ディスクの回転速度を常に変化させる必要があります。内周部では回転速度を速く、外周部では回転速度を遅くすることで、記録媒体上を移動する読み書きヘッドの速度を一定に保ちます。このため、ディスク全体を均一に利用でき、CAV（角速度一定）方式と比較して、より多くのデータを記録することが可能です。ただし、この回転速度の制御が複雑になるため、ランダムアクセス性能やデータ読み書きの速度はCAVに比べて劣る傾向があります。

例えば、コンパクトディスク（CD）の場合、最も回転速度が速い内周部と、最も遅い外周部では、回転速度の比が5:2にもなります。このように、CLVはディスクの回転速度を細かく制御することで、常に一定の速度でデータを読み出すことを可能にしています。

CLVのメリットとデメリット

メリット

ディスク容量を最大限に活用できる
大容量データを一定速度で読み出しやすい
CD、DVD、Blu-ray Discなど多くのメディアで採用されている

デメリット

ディスクの回転速度を常に変化させる必要があるため、制御が複雑
ランダムアクセス性能やデータ読み書き速度はCAVに比べて劣る傾向がある

ZCLV（ゾーンCLV）

CLVの発展形として、ZCLV（Zoned CLV）という方式もあります。これは、ディスクを半径方向に複数のゾーンに分割し、それぞれのゾーン内で回転速度を一定に保つ方式です。これにより、CLVよりも回転制御が容易になり、DVD-RAMの低速メディアなどに採用されています。ZCLVは、CLVとCAVの中間的な特性を持ち、より効率的なデータ記録と読み出しを実現しています。

CLV記録メディアの例

CLV方式が採用されている主な記録メディアには、以下のようなものがあります。

コンパクトディスク（CD）
レーザーディスクの長時間記録モード
ミニディスク（MD）
DVD
Blu-ray Disc
UMD
CLVレーザーディスク

レーザーディスクにおけるCLVの適用

レーザーディスクにおいては、「長時間記録モード」でCLVが採用されました。ただし、実際には、内周部をCAV、外周部をCLVとして記録するPCAV（Partial CAV）方式が用いられていました。また、アナログ音声のみのCLVレーザーディスクでは、リードインエリアのみがCAVとされていました。デジタル音声入りのCLVレーザーディスクでは、リードインエリアと再生開始の数分間がCAVとされていました。

初期のCLVレーザーディスクでは、これらのCAV部分で、静止画などの特殊再生が廉価なプレーヤーではできないという問題が指摘され、ビデオ雑誌に投書されたこともありました。これは、CLVが複雑な制御を必要とするため、初期の機器では対応が難しかったことが原因です。

関連用語

* CAV（角速度一定）

CLVは、ディスクメディアの記録密度を均一化し、大容量化を図る上で重要な技術です。現在でも多くのメディアで採用されており、その技術は日々進化しています。

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