CODOG

CODOG方式：ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの融合

CODOG（COmbined Diesel Or Gas turbine）とは、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの2種類のエンジンを組み合わせ、それぞれの特性を活かして船舶を推進するシステムです。主に軍艦などの高速性能と長航続距離が求められる艦艇に採用されています。

艦船推進における速度と出力の課題

船舶の推進に必要な出力は、速度の3乗に比例して増加します。これは、高速航行を行うためには、低速航行時よりもはるかに大きなエンジン出力が求められることを意味します。例えば、基準速度の2倍の速度で航行するには、約5倍もの出力が、3倍の速度では約16倍もの出力が求められます。

しかし、軍艦のような船舶は、常に最高速度で航行するわけではありません。戦闘や哨戒など、様々な状況に応じて速度を調整する必要があり、最高速度での航行は、艦艇の全寿命においてごくわずかな時間しか占めないとされています。

そのため、低速航行時の燃費効率の悪さが、長期間の運用に大きな影響を与えます。艦船の航続距離を確保するためには、低速航行時の燃料消費率を最小限に抑えることが重要になります。

ガスタービンエンジンの特性と課題

ガスタービンエンジンは、往復運動部分がなく、静粛性や振動が少ないという利点があります。また、ディーゼルエンジンと比較して、暖機運転時間が短く、即応性に優れています。これらの特性から、高速航行に適したエンジンとして評価されています。

しかし、ガスタービンエンジンは、低速航行時における燃料効率が非常に悪いため、常に最高速度で航行しない艦艇にとっては、燃料消費量の増加という大きな問題点がありました。

組み合わせ機関の有効性

そこで、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを組み合わせることで、それぞれのエンジンの長所を活かし、短所を補う組み合わせ機関が開発されました。CODOG方式はこの組み合わせ機関の1つです。

巡航時の出力が最大出力の20%以下の場合は、CODOGやCOGOG（COmbined Gas Or Gas turbine）などの方式が有効です。低速航行時には燃料効率の良いディーゼルエンジンを使用し、高速航行時にはガスタービンエンジンに切り替えることで、燃費効率と高速性能の両立を目指します。

一方、巡航時の出力が最大出力の30%以上になると、CODAG（COmbined Diesel And Gas turbine）やCOGAG（COmbined Gas And Gas turbine）などの方式が有効となります。低速航行にはディーゼルエンジン、加速や高速航行にはガスタービンエンジンを補助的に使用します。最大出力の比率が40%以上になると、COGAGやCOSAG（COmbined Steam And Gas turbine）がより有利になります。

最大出力の比率が60%を超えると、1種類のエンジンで出力に対応した方が効率的になる場合もあります。

CODOG方式の詳細

CODOG方式は、低速航行時にディーゼルエンジン、高速航行時にガスタービンエンジンを使用するシステムです。ディーゼルエンジンはガスタービンエンジンに比べて燃料消費率が大幅に優れているため、低速航行に最適です。一方、ガスタービンエンジンは出力重量比が優れており、高速航行に適しています。

CODOG方式では、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンのどちらか一方のみが推進軸に接続され、速度に応じて切り替えられます。CODAG方式のように両方のエンジンを同時に使用しないため、高速航行時のガスタービンエンジンへの要求が高くなるという欠点があります。しかし、回転数の異なるエンジンを1つの推進軸に統合する必要がないため、減速機の機構が簡素化され、水中放射雑音の軽減にも繋がります。この簡素な構造が、CODOG方式が早くから広く採用されてきた理由の1つです。

まとめ

CODOG方式は、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの特性を巧みに組み合わせることで、艦船の燃費効率と高速性能の両立を実現した革新的な推進システムです。軍艦など、様々な速度域での運用が求められる船舶において、その有用性が広く認識されています。今後も、燃費効率や出力向上などの技術開発が続けられていくでしょう。

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