COMPLEX (音楽ユニット)

COMPLEX：吉川晃司と布袋寅泰による伝説的ロックユニット

COMPLEXは、シンガーソングライターの吉川晃司と、元BOØWYのギタリスト布袋寅泰によって結成された日本のロックユニットです。それぞれが個々の活動でも成功を収めていたことから、スーパーグループと称されることも多い、特別な存在でした。楽曲の著作権は、布袋の所属事務所の出版社が管理しています。

結成から活動休止までの軌跡

吉川と布袋の出会いは、BOØWYの楽曲制作や吉川のソロアルバムへの参加、そして同じマンションでの生活と、公私共に深く関わる関係にまで発展していました。

そんな2人がCOMPLEXを結成するきっかけとなったのは、酒席での何気ない会話でした。当時、渡辺プロダクションから独立したばかりの吉川は、アイドルからの脱却を図り、ソロアーティストとしてのキャリアを歩み始めていましたが、ソングライターとしての経験は浅く、ロックバンドという形態に魅力を感じていました。一方、BOØWY解散後の布袋は、ソロ活動において、ボーカリストとしての自身の未熟さや、ギタリストとしてインスト作品への期待といったプレッシャーを感じていました。

双方の事務所もこのユニット結成に賛同し、1988年12月10日、COMPLEXの結成が発表されました。翌1989年4月8日にはシングル『BE MY BABY』でデビューを飾ると、その後発表された作品はすべてオリコンチャートで1位を獲得するという快挙を成し遂げました。

しかし、この華々しい活躍の裏では、次第に両者の間に溝が生じ始めます。音楽性や制作へのアプローチの違い、ビジネス面での考え方の相違などが、2人の関係を複雑にさせました。

特に、生演奏を重視する吉川と、コンピュータを駆使したサウンド作りを目指す布袋との間には、音楽的な方向性の違いが明確に現れていました。この相違は、最終的には激しい衝突にまで発展し、1990年11月8日、東京ドーム公演『ROMANTIC EXTRA』をもって、COMPLEXは活動休止に追い込まれました。

休止後、両者はそれぞれのキャリアを歩み始めますが、COMPLEX結成と活動休止に関する後悔や、活動休止に至った経緯をインタビューなどで何度も語っています。中でも、2人が友人関係から離れてしまったことへの後悔は、両者にとって大きな心の傷として残りました。

2011年、そして2024年：奇跡の復活と日本一心

2011年、東日本大震災をきっかけに、21年ぶりにCOMPLEXは一夜限りの復活を果たします。吉川の呼びかけに、当初は戸惑いを見せた布袋でしたが、震災復興への支援という共通の目標のもと、活動再開に合意しました。東京ドームで行われたチャリティーライブ「日本一心」は、大きな感動を呼び、全収益は復興支援のために寄付されました。

それから13年後、2024年、能登半島地震を受けて、「日本一心」が再び東京ドームで開催されました。この公演も大きな成功を収め、復興支援金として多額の寄付がなされました。

COMPLEXの音楽と遺産

COMPLEXは、わずか2年間という短い活動期間でしたが、日本の音楽シーンに大きな足跡を残しました。2人の個性がぶつかり合いながらも生み出された、唯一無二の音楽は、多くのファンに愛され続けています。そして、震災や地震への支援活動を通して見せた、2人の人間性もまた、COMPLEXの大きな遺産と言えるでしょう。

ディスコグラフィー

COMPLEXは、シングル、アルバム、ライブアルバム、ベストアルバム、映像作品、ミュージックビデオなどを多数リリースしました。これらは、彼らの音楽的才能と、短い活動期間の中で成し遂げた偉業を物語る貴重な記録です。

COMPLEXの歴史は、成功と挫折、そして友情と葛藤の物語です。彼らが残した音楽とメッセージは、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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