COPII

COPIIとは

COPIIは、細胞内で重要な役割を果たすタンパク質輸送システムの一部です。具体的には、粗面小胞体（ER）で合成されたタンパク質をゴルジ体へと輸送する際に、小胞の形成を担う被覆タンパク質複合体（コートマー）として機能します。この輸送経路は順行性輸送と呼ばれ、COPIが関与する逆行性輸送とは対照的です。

COPIIの構成

COPIIの被覆は、以下の5種類のタンパク質から構成されます。

Sar1
Sec23
Sec24
Sec13
Sec31

これらのタンパク質は、より大きな複合体を形成するために、Sec23/Sec24ヘテロ二量体、Sec13/Sec31ヘテロ四量体を形成します。COPII被覆の形成には、これらのタンパク質が必須であり、それぞれのタンパク質が、複数の同じ種類のタンパク質と複合体を形成することが重要です。

これらの被覆タンパク質は、小胞を正しい標的膜へ運んだり、ドッキングさせたりするために必要ですが、これらだけで十分ではありません。SNARE、積み荷、その他のタンパク質も、これらの過程に不可欠な役割を果たします。

COPII小胞の出芽過程

COPII小胞の組み立て過程は、以下のステップで進行します。

1. Sar1の活性化: 細胞質側に存在するGDP結合型の不活性なSar1が、小胞体膜に存在する膜貫通タンパク質Sec12と相互作用します。Sec12はグアニンヌクレオチド交換因子として働き、Sar1に結合しているGDPを解離させ、GTPを結合させます。これにより、Sar1は活性化されます。

2. Sec23/Sec24複合体のリクルート: 活性化されたGTP結合型Sar1は、コンフォメーション変化を起こし、N末端の両親媒性αヘリックスが露出して小胞体膜に挿入されます。膜に結合したSar1は、Sec23/Sec24複合体をリクルートし、pre-budding complexを形成します。

3. Sec13/Sec31複合体のリクルート: pre-budding complexは、次にSec13/Sec31複合体をリクルートします。Sec13/Sec31複合体は、他のSec13/Sec31複合体と多量体化し、クラスリン小胞の格子構造に似た立方八面体を形成します。この立方八面体の形成が、小胞体膜を変形させ、出芽を促進します。

4. 小胞の分離: 膜が変形し、COPII小胞が積み荷タンパク質とv-SNAREとともに小胞体から分離し、出芽が完了します。

Sar1は、GTPアーゼとして、活性型の膜結合型と不活性型の可溶性型の間をスイッチのように機能します。Sec23/Sec24複合体は、膜の積み荷タンパク質の細胞質側ドメインに存在する選別シグナルに特異的に結合します。これらのシグナルは、COPIのKDELやKKXXのような単純なモチーフとは異なります。近年、複数の小胞体搬出シグナルが協調して機能し、集合していない積み荷を分離して排除することが示唆されています。

積み荷の選択的な積み込み

いくつかのタンパク質が、COPII小胞への積み荷の選択的な積み込みに関与することが判明しています。最近の研究では、Sec23/Sec24-Sar1複合体が積み荷の選別に関わっていることが示唆されています。酵母においては、Erv29pがグリコシル化されたα-接合因子前駆体の積み込みに必要であることがわかっています。

まとめ

COPIIは、小胞体からゴルジ体へのタンパク質輸送において、重要な役割を担う被覆タンパク質複合体です。その形成には、複数のタンパク質が協調して機能し、正確なタンパク質輸送を可能にしています。これらの複雑なメカニズムは、細胞内のタンパク質輸送の理解を深める上で非常に重要です。

参考文献

参考文献は省略します。

関連項目

COPI
* クラスリン

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