COSMOS (ソフトウェア)

COSMOSは、ダッソー・システムズSolidWorks Corporationが提供していたCAEソフトウェアのブランド名です。構造解析、流体解析など、幅広い分野に対応する解析パッケージとして、設計者やエンジニアに利用されていました。

COSMOSの誕生と発展

COSMOSの歴史は、1982年にStructural Research and Analysis社が、フリーの構造解析ソフトウェア「SAP」をベースに、高価だったCAEソフトウェアをより手軽に利用できるように開発を開始したことに始まります。当初は、ワークステーションでの利用が主流でしたが、Windowsの登場に合わせていち早く対応した「COSMOSM」をリリースし、パソコンでのCAE利用を可能にしました。これにより、ユーザー層の拡大に大きく貢献しました。

さらに、Pro/ENGINEER、Solid Edge、SolidWorksなどの3次元CADが普及すると、これらのCADソフトとのデータ連携を可能にするインターフェースを開発しました。特にSolidWorksとの連携を強化した「COSMOSWorks」は、SolidWorksの最初のゴールドパートナー製品として、インターフェースに完全統合されたことで大ヒットを記録しました。その後も、機構解析ソフトウェア「Dynamic Designer Motion」のSolidWorks向けOEM製品「COSMOSMotion」をリリースするなど、SolidWorksとの連携を深めていきました。

また、SolidWorks以外のCADユーザー向けには、独自のインターフェースを持つ複数CAD対応パッケージ「COSMOSDesignSTAR」をリリースし、幅広いユーザーに対応しました。

ダッソー・システムズへの統合とブランド変更

2001年、Structural Research and Analysis社はダッソー・システムズに買収され、その後SolidWorks CorporationのCAE製品部門となりました。これにより、SolidWorksではCAE製品をCOSMOSブランドに集約する方針がとられ、流体解析ソフトウェア「FloWorks」のOEM権を取得し「COSMOSFloWorks」としてリリースしました。

日本においては、2000年に日本法人コスモスジャパンが設立され総代理店となりましたが、2006年にソリッドワークス・ジャパンに吸収合併されました。そして2008年9月には、ブランド名を「SolidWorks Simulation」に変更し、2009バージョンからは、COSMOSのブランド名は使用されなくなりました。

COSMOSの主な製品構成

COSMOSブランドの製品には、以下のようなものがありました。

COSMOSWorks: SolidWorksに完全統合された構造解析CAEソフトウェアです。解析項目別にDesigner、Professional、Advanced Professionalといったグレードが存在しました。バージョン2009からは「SolidWorks Simulation」に名称変更され、パッケージ構成もProfessionalとPremiumに再編されました。
COSMOSDesignSTAR: 独立したインターフェースを持つ、複数CAD対応のCAEソフトウェアです。ProfessionalとAdvanced Professionalのグレードがありましたが、2008年に開発が終了しました。日本では、大塚商会の関連会社CAEソリューションズがマスター・ディストリビュータを務めていました。
COSMOSFloWorks: SolidWorksに完全統合された流体解析CAEソフトウェアです。旧FloWorksの日本総代理店であった構造計画研究所が、日本でのマスター・ディストリビュータでした。バージョン2009からは、「SolidWorks Flow Simulation」に名称変更されました。
COSMOSMotion: SolidWorksに完全統合された機構解析CAEソフトウェアです。バージョン2008から、SolidWorksの機能の一部となりました。

まとめ

COSMOSは、構造解析、流体解析、機構解析など、幅広いCAE解析をカバーするソフトウェアでした。特にSolidWorksとの連携に力を入れており、設計者にとって使いやすいツールとして、多くの支持を集めていました。ブランド名はSolidWorks Simulationに変更されましたが、その技術とノウハウは、現在のSolidWorksのCAE機能に引き継がれています。

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