SolidWorks

SolidWorks（ソリッドワークス）とは

SolidWorksは、Dassault Systèmes SolidWorks Corporation（現ダッソー・システムズの子会社）が開発・提供する、機械設計向けの3次元CADソフトウェアです。3Dソリッドモデラーとして、幅広い産業分野で利用されています。

概要

SolidWorks社は1993年に設立され、1995年に最初の製品を出荷しました。創業以来、「使いやすさ」と「手頃な価格」を重視する製品ポリシーは、1997年のダッソー・システムズによる買収後も変わらず維持されています。2013年には、ライセンスの累計販売数が200万本を突破し、その普及ぶりが伺えます。

SolidWorksは、「使い勝手の良さ」を主なテーマとして開発され、それまで主流だったハイエンドCADと、PC系CADの中間に位置するミドルレンジ3D CADとして普及しました。当時、普及価格帯の3D CADはまだ少なかったため、SolidWorksはその先駆けとなりました。

ダッソー・システムズは、買収以前から独自のCAD製品CATIAを持っていましたが、買収後も製品の統合は行われず、それぞれの製品としての独立性が保たれています。しかし、CATIA V5とSolidWorksは機能的に類似する部分が多く、機能の相互提供も行われています。

SolidWorksは操作性が優れているためデザイン用途で利用されることもありますが、本質的には機械設計向けのCADです。特に、複雑なコンポーネントよりも、コンシューマ商品のように少量多品種のバリエーションが多い製品を扱うメーカーやサプライヤーに適しています。また、教育機関向けには安価なライセンスが提供されており、授業や実習などでも活用されています。

機能体系

SolidWorksは、新機能の多くを標準パッケージに追加しており、商品ラインナップがシンプルであるため、商品の選択や把握が容易です。CAMなどの特定の業務向け機能は自社では提供せず、サードパーティ企業がプラグイン機能やライブラリとして提供しています。これにより、ユーザーは必要な応用機能を複数のメーカーから自由に選択できます。

SolidWorksの機能は、下位の機能を包含する形で4段階のパッケージで提供されています。上位のパッケージには、多機能を求めるユーザー向けの補助的なツールが追加されていますが、最も安価なパッケージでもモデリングに必要な機能は提供されます。

パッケージの種類

SolidWorks for Makers（廉価版、商用利用不可）
ネットワーク接続が必須
構造解析ツール「SW simulation」なし
シミュレーション機能「3DEXPERIENCE WORKS SIMULIA」なし
Publisherダイアログボックスなし
SolidWorks Standard（基本構成）
基本的なモデリング機能が利用可能
SolidWorks Professional（中間構成）
Standardの機能に加え、レンダリング、データ管理、アニメーションなどのツールが利用可能
SolidWorks Premium（最大構成）
Professionalの機能に加え、電気配線や配管設計ツール、構造解析機能の一部が含まれる

モデラー以外の機能

SolidWorksは当初純粋なモデラーでしたが、ユーザーの利用範囲の拡大とともに、CADとして必要な機能が順次追加されています。構造解析のニーズに応えるため、アプリケーション・パートナーだったCOSMOSを買収し、自社ブランドとして展開しています。

SolidWorks Simulation（旧商品名：COSMOSWorks）
有限要素法解析による構造解析を行うための統合ソフトウェア
SolidWorks Flow Simulation（旧商品名：COSMOSFloWorks）
SolidWorks上で構築したモデルを使用して流体解析を行うソフトウェア
SolidWorks Motion（旧商品名：COSMOSMotion）
* 機構シミュレーションを行うプラグイン

データ管理

Windows準拠のファイルシステムを基盤としていたため、初期のSolidWorksではファイルによるデータ管理が中心でした。しかし、ユーザー数の増加に伴い、データ管理アプリケーションの必要性が高まりました。

SolidWorks Enterprise PDM

Microsoft SQL Serverを利用したデータ管理ソフトウェアで、部品、アセンブリなどのCADデータを一元的に管理できます。これにより、部品の組み込み関係や親子構造などを一貫して管理でき、データの整合性を維持できるようになりました。

SolidWorksは、その使いやすさと多様な機能により、機械設計の現場で広く利用されています。また、教育機関向けのライセンス提供により、次世代のエンジニア育成にも貢献しています。

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