COSMOS-keyboards trio-

COSMOS-keyboards trio-（コスモス・キーボードトリオ）

COSMOS-keyboards trio-は、1980年代を中心に活動した日本の3人組フュージョンバンドです。財団法人ヤマハ音楽振興会が育成した音楽家の中から生まれたグループで、特にキーボード演奏に焦点を当てた独自のサウンドで注目を集めました。しばしばシンセサイザーバンドとも称されましたが、当時のレコードジャケットの解説などではキーボードバンドとして紹介されています。

メンバー

バンドを構成したのは、いずれもヤマハ主催のジュニア・オリジナル・コンサート（J.O.C.）に出場経験を持つ実力派のキーボード奏者たちでした。

田中裕美子（後の鎌田裕美子、1959年生まれ）
リーダーを務めました。スリムな体格ながらパワフルな演奏を持ち味とし、年長者としてグループのまとめ役を担いました。
土居慶子（後の松居慶子、1961年生まれ）
パワフルなタッチと、スケールの大きな中に女性らしい繊細さや温かみを感じさせるメロディラインが特徴でした。
海江田ろまん（後の川崎ろまん、1960年生まれ）
主にアコースティックピアノを担当しました。ライブでは何かが憑依したかのような情熱的な演奏でファンから熱い支持を受けました。彼女は後に映画『未来シャッター』の音楽も手掛けています。

この3人の他、初期には大島ミチル、椙山有美、平部やよいといったメンバーが在籍した時期もありました。

概要と活動背景

COSMOSは1981年、東宝映画『漂流』のサウンドトラックでレコードデビューを果たしました。結成当初は、ヤマハ・ネム音楽院に所属する約20名の音楽家が様々な形態で活動するプロジェクトの一環として位置づけられていたと言われています。彼らのレコーディングには、新田一郎（トランペット）や、松原正樹、芳野藤丸（ギター）といった日本のトップミュージシャンたちがゲスト参加し、サウンドに彩りを添えました。また、当時のメディア戦略として、ニッポン放送の人気ラジオ番組『コッキーポップ』との協力関係があり、ヤマハ提供番組である『ぽっぷん王国・ティーンズミュージックフェスティバル』や、『谷山浩子のオールナイトニッポン』などで彼らの楽曲が効果的に利用されました。全てのリリースされたアルバムには、当時のヤマハ社長である川上源一がエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねており、その強力なバックアップ体制が伺えます。アルバム『BOURBON SUITE』発売時には、LP/CD販売元のポニーキャニオンによるユニークなスタジアムジャンパーのプレゼントキャンペーンが実施されたこともありました。

音楽の特徴とメディアでの展開

COSMOSの音楽の最大の特色は、ボーカルを含まないインストゥルメンタル楽曲が中心であることです。この「歌のない」サウンドは、1980年代から1990年代後半にかけて、日本の様々な放送局でラジオやテレビ番組のテーマ曲やBGMとして広く採用されました。キャッチーでメロディアスな彼らの楽曲は、当時の多くの番組を彩ったのです。代表曲としては、『亜麻色のスーベニール』、『CAN CAN CAN!』、『Kissin' in the Rainbow』、『SKIP STEP SNAP!』、『Jumpin' for joy』、『舞ミューズ』、『夢気球』などが挙げられます。

特に、読売テレビの情報番組『おもしろサンデー』のテーマ曲『Spiral Dream』はよく知られており、アルバム『MUSITOPIA』に収録されたほか、シングルとしてもリリースされました。このシングル盤とアルバム盤では、間奏部分のアレンジが異なっているという特徴もあります。『MUSITOPIA』のジャケットライナーは、当時の番組司会者であった落語家・桂文珍が寄稿していることでも話題となりました。

彼らの楽曲は非常に多くの番組で使用され、例えば毎日放送『いい朝8時』（『幸せな朝』）、朝日放送『もうすぐ夜明けABC』（初期テーマ『Kissin' in the Rainbow』）、静岡放送『殿キンのお早うございます』（『SKIP STEP SNAP!』）、NHK教育テレビジョン『理科教室小学校3年生』（テーマ曲）、エフエム沖縄『ハッピーアイランド』（『愛ランド・ダンス』）、テレビ大阪『ザ・フィッシング』（初期テーマ）など枚挙にいとまがありません。

ディスコグラフィ

COSMOSは活動期間中に複数のシングルとアルバムをリリースしています。

シングル
漂流（1981年）
CAN CAN CAN!（1982年、プロモーション用非売品）
Spiral Dream（1983年）
ふだんがキラキラ（1985年）

アルバム
CAN CAN CAN!
BOURBON SUITE
MUSITOPIA
夢想都市
session V
* COSMOS THE BEST （『CAN CAN CAN!』、『MUSITOPIA』、『夢想都市』からの選曲）

これらの作品のうち、『BOURBON SUITE』と『夢想都市』の単体CDは、2010年10月時点の情報ではリリースされていませんでした。LPや旧盤CDはポニーキャニオンから発売され、楽曲の版権はヤマハミュージックパブリッシングが所有しています。

1980年代の日本のフュージョンシーンにおいて、COSMOS-keyboards trio-は、卓越した演奏技術と、インストゥルメンタルながらもキャッチーでメロディアスな楽曲で、多くのリスナーに親しまれました。特に放送メディアにおける楽曲の採用実績は目覚ましく、彼らの音楽は当時の日本の風景の一部として多くの人々の耳に刻まれています。

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