CPグループ

CPグループの概要

CPグループ（Charoen Pokphand Group Co., Ltd.）は、タイを代表するコングロマリットです。潮州系タイ人の謝家（チエンワノン家）によって設立され、農業と食品分野を中核に事業を展開しています。通信、不動産など多岐にわたる分野にも進出し、国際的にはASEAN諸国や中国を中心に13カ国で事業を展開、ロンドン証券取引所にも上場しています。特に中国では「正大集団」として知られ、最大の外資系企業としての地位を確立しています。

名称について

CPグループの「CP」は、グループ名である「チャルーンポーカパン（Charoen Phokphan）」の頭文字に由来します。中国語では、かつての園芸店舗名「正大荘行」から「正大集団」という名称が用いられています。日本では「チアタイ・グループ」と表記されることがありますが、「チアタイ」はCPグループの一企業を指す言葉であり、グループ全体を指す名称としては適切ではありません。また、「CPポーカパン」という表記も、Pがポーカパンの略であるため、重複した表現として誤りです。

沿革

CPグループのルーツは、1921年にタイに渡航した潮州出身の謝易初（エークチョー・チエンワノン）と弟の謝少飛（チョンチャルーン・チエンワノン）が始めた園芸店「正大荘行」に遡ります。その後、易初の長男であるチャラン（謝正民）が1953年に家畜飼料の販売店「チャルーンポーカパン」を開店し、1959年にチャルーンポーカパン株式会社（CP）を設立。養鶏業を始め、CPグループの中核となるアグリビジネスの基盤を築きました。1968年には、易初の四男であるタニン（謝国民）が会長に就任し、経営を掌握しました。

タニン会長の下で、CPグループは設備の近代化、外部人材の導入など近代化路線を推進。1971年には世界最大のブロイラー原種生産会社との合弁で、東南アジア初のブロイラー工場を設立。また、農家との委託生産契約により、ヒナや飼料を供給し、成長した鶏を買い取る方式を導入しました。さらに、ブラックタイガーエビの品種改良など、水産業にも進出し、エビ飼料の研究でタイを世界一の生産国へと押し上げました。

しかし、タニンによるグループ拡大は外貨建ての債務を抱え、アジア通貨危機によって経営危機に陥りました。1998年には債権者に返済期限の延期を申し入れ、海外事業も大幅に業績が悪化。タイ国内の購買力低下により、小売業も経営難に陥りました。

グループの事業内容

CPグループは、以下の主要な分野で事業を展開しています。

農業部門: 正大荘行を前身とする中核事業で、タイ国内の乳業大手であるCP明治などが含まれます。
工業部門: タイのバンコクに本社を置く易初工業集団有限公司があり、中国の三九企業集団などが傘下にあります。
食品部門: CPフードとして知られ、グループの売り上げの約3分の1を占めます。タイ産食品の輸出や、中国、トルコなどでの養鶏事業を手掛けています。
グローバルキッチン部門: チェスター・グリル、ケンタッキーフライドチキン、ピザハットなどの外食産業を展開しています。
流通部門: サイアム・マクロ、CPセブン・イレブン（CPオール）などを展開していましたが、アジア通貨危機以降、小売業から撤退する傾向がありました。しかし、CPセブン・イレブンはその後、業績を大きく伸ばしました。
不動産部門: フォーチューン・タワー、フォーチューン・ホテルなどを経営し、保険業も展開しています。
石油部門: CPペトロケミカル・ビジネス・グループを設立し、石油産業にも参入しました。
通信部門: CPテレコミュニケーションズ（後のテレコムアジア）を設立し、携帯電話事業やインターネット接続サービスなどを展開しました。

外国進出

CPグループは、多国籍企業として世界13カ国に子会社を設置しており、特に中国との関係が深いです。1969年以降、様々な産業に進出しましたが、アジア経済危機のため一時的に投資を縮小しました。しかし、その後、中国への投資を再び活発化させ、2014年には伊藤忠商事との業務資本提携を発表しました。

CPグループへの批判

CPグループはタイ経済を支える存在として評価される一方で、近年は「富の独占」との批判も出ています。特に、2015年にはセブン-イレブンに対する不買運動が起こり、大企業が庶民の稼ぎを奪っているとの反発が広がりました。また、プライベートブランド製品についても、利益独占や模倣疑惑が指摘されています。

まとめ

CPグループは、農業から多岐にわたる事業を展開し、国際的にも大きな影響力を持つコングロマリットです。しかし、その巨大な規模ゆえに、富の独占といった批判も受けています。今後、CPグループがどのように事業を展開し、社会との関係を築いていくのかが注目されます。

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