CUTE (人工衛星)

CUTEシリーズについて

CUTE（CUbical Tokyotech Engineering satellite）は、東京工業大学の松永研究室で開発された超小型人工衛星シリーズであり、学生主導のプロジェクトとして注目を集めてきました。このシリーズには、CUTE-I、Cute-1.7 + APD、Cute-1.7 + APD IIの3機が含まれ、それぞれ技術的な革新と教育的な意義を持っています。

CUTE-I

CUTE-Iは、2003年に打ち上げられた初の衛星です。プロジェクトは、低コストかつ高機能な小型衛星の開発を目指しており、技術的な挑戦が盛り込まれました。本体は重量1kg、サイズは10cm立方のCubeSatで、1枚の太陽電池パドルと3本のモノポールアンテナを備えています。通信にはアマチュアバンドが使用され、その後の運用でも成功を収めました。

CUTE-Iは、2003年6月30日にロシアのプレセツク宇宙基地から打ち上げられ、打ち上げ自体は成功しました。以降、通信アンテナと太陽電池パドルの展開も無事に確認され、運用は順調に進行しました。しかし、2010年3月、他の衛星との衝突の危険性が指摘されましたが、幸いにも問題が発生することはありませんでした。運用は続けられ、現在もテレメトリの取得が行われています。

Cute-1.7 + APD

2機目の衛星であるCute-1.7 + APDは、2006年に打ち上げられました。本衛星は、松永研究室が開発したCute-1.7と河合研究室によるAPD（Avalanche Photo Diode）センサモジュールが一体となっています。商用のオフザシェルフコンポーネントを活用し、特に制御コンピュータとして日立のPDAを用いるなど、先進的な技術を導入しました。これにより、アマチュア無線サービスや姿勢制御実験も行われました。

しかし、打ち上げから23日後に電力消費が異常に増加し、衛星は地上からの指令に応答しなくなりました。この問題は、後に放射線によるSEL（Single Event Latch-up）現象が原因であったことが確認されました。最終的に、連続波が送信される中、2009年10月に大気圏再突入を迎えました。

Cute-1.7 + APD II

3機目であるCute-1.7 + APD IIは、前の機体の改良型として2008年に打ち上げられました。この衛星でも、引き続き民生品を活用した研究が行われ、特に放射線耐性の向上を重点に置いて設計されました。宇宙での観測にはCMOSカメラを使用し、地球の荷電粒子を観測することに成功しました。これにより、様々な実験が実施され、運用は順調に行われています。

CUTEシリーズは、宇宙での技術革新と実践的な教育を組み合わせたプロジェクトとして、宇宙関連技術の向上に寄与しています。現在も各衛星は運用されており、多くの研究に利用されています。

参考文献

外部リンクとして、東京工業大学理工学研究科の松永研究室のウェブサイトが挙げられます。このサイトでは、さらなる詳細な情報を得ることができます。

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