CZ (オートバイ)

CZ：武器工場から世界的なオートバイメーカーへ、そしてその終焉

チェスカー・ズブロヨフカ・ストラコニツェ社（Česká zbrojovka Strakonice、略称CZ）は、チェコスロバキアで知られたオートバイブランドです。しかし、その歴史は武器製造から始まりました。

武器工場からオートバイ製造へ

1919年、南ボヘミア武器工場として設立されたCZは、その後、幾度かの合併を経て、ピストル、空気銃、自動小銃など、数々の武器を製造する大企業へと成長しました。第一次世界大戦後の武器需要の減少を受け、同社は事業多角化を模索し、自転車部品の製造を開始します。これがCZのオートバイ製造へと繋がる最初のステップでした。

1932年にはエンジン付き自転車を製造開始、そして1935年にはついに最初のオートバイを生産。CZブランドのオートバイは瞬く間に人気を博し、チェコスロバキア最大のオートバイメーカーへと躍進しました。ビジネスの成功は生産活動の拡大へと繋がり、チェーンや工作機械などの工業製品も製造するようになりました。

戦時下と国営化

第二次世界大戦中はドイツ軍の占領を受け、戦争に必要な物資の生産を強いられます。戦後、CZは1946年に国営化。政治情勢の変化により、ストラコニツェ工場での武器製造は終了しました。1948年には、チェコスロバキアの主要オートバイメーカーであるヤワ社と提携、事業基盤の強化を図ります。

モータースポーツでの成功と衰退

1950～60年代はCZの黄金時代でした。モトクロスやエンデューロといったモータースポーツで数々の勝利を収め、ストリートモデルでも大きな成功を収めます。この時代、CZはヨーロッパで2番目に大きなオートバイメーカーとなり、ロードレース世界選手権にも参戦。1969年には、350ccV4エンジンのグランプリレーサーを開発するなど、技術開発にも積極的に投資しました。しかし、ロードレース参戦は高コストだったため、1972年に撤退、モトクロスに集中することにしました。

オフロードレースでは、CZは2ストロークエンジンの技術革新で知られており、モトクロス世界選手権で7度のワールドタイトルを獲得するなど、輝かしい実績を残しました。しかし、1970年代に入ると、安価な日本製オートバイの台頭によって市場シェアを奪われ始めました。

1993年、民営化されたCZのオートバイ部門はイタリアのカジバ社に買収されます。しかし、カジバの経営悪化により、1997年にはCZブランドのオートバイの生産は中止されました。

その後

現在、CZ社はオートバイ製造からは撤退していますが、創業時から続くチェーン、工具、鋳物などの工業製品の製造を続けており、自動車部品の生産も手掛けています。かつて世界を舞台に活躍したCZブランドのオートバイは、モータースポーツの歴史にその名を刻み込みました。CZの歴史は、時代の変化の中で、常に挑戦と革新を繰り返した企業のドラマとして、語り継がれるでしょう。

主要なモータースポーツでの成績

モトクロス世界選手権

1964年、1968年、1969年 250ccクラスチャンピオン：ジョエル・ロベール（ベルギー）
1965年、1966年、1967年、1968年 500ccクラスチャンピオン：ポール・フリードリッヒ（東ドイツ）

インターナショナル・シックスデイズ・トライアル

1947年から1982年にかけて、チェコスロバキアチームとして幾度となく優勝を果たしています。

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