CoRoT-9b

CoRoT-9bは、太陽系から約1500光年離れたへび座の方向に位置する太陽系外惑星です。この惑星は、欧州宇宙機関の人工衛星COROTによって観測され、2009年に発見されました。CoRoT-9bは、太陽に似たG型主系列星であるCoRoT-9の周囲を約95日かけて公転しており、その際に地球と恒星の間を周期的に通過することで、恒星の光をわずかに変化させるトランジット現象を引き起こします。

性質

CoRoT-9bは、木星の約1.05倍の半径と約0.84倍の質量を持つ、木星サイズのガス惑星です。その軌道はほぼ円形に近く、半径は約0.4天文単位で、これは太陽系の水星の軌道に匹敵します。この惑星の表面温度は、およそ250Kから430K（-20℃から160℃）の間と推定されています。

CoRoT-9bは、軌道長半径が5天文単位以上の太陽系のガス惑星と比較して、恒星に10倍以上近い距離を公転していますが、一方で典型的なホット・ジュピターと比べると10倍ほど離れています。このような中間的な軌道を持つ系外惑星は珍しくありませんが、CoRoT-9bの特筆すべき点は、トランジット現象が観測されたことです。

恒星面通過（トランジット）

地球から見ると、CoRoT-9bはほぼ真横からその軌道面を観察できるため、惑星が恒星の前を通過するトランジット現象を観測することができます。この現象によってCoRoT-9bは発見され、その存在は視線速度法の観測によって確認されました。

CoRoT-9bの発見当時、トランジットを起こす系外惑星は70個ほど知られていましたが、CoRoT-9bのように恒星から比較的離れた軌道を持つものは存在しませんでした。惑星の軌道半径が大きくなるとトランジットを観測できる可能性は低下するため、これまでは恒星のすぐ近くを公転する高温の惑星（ホット・ジュピターなど）がほとんどでした。例外として、公転周期が111日のトランジット惑星HD 80606 bがありますが、この惑星は非常に偏心した楕円軌道を描き、恒星に最接近時にはホット・ジュピター並みの高温になります。

トランジット現象の観測によって、惑星が遮る恒星光の割合から惑星のサイズを正確に見積もることができます。さらに、恒星の光が惑星の大気を通過してくる際の変化を調べることで、大気に関する情報を得ることも可能です。このため、CoRoT-9bは太陽系のガス惑星に類似した、比較的低温の惑星の研究を進める上で非常に重要な役割を果たすと考えられています。

もう一度検索