Cocoon (今日マチ子の漫画)

cocoon（コクーン）

『cocoon』は、今日マチ子が描いた日本の漫画作品です。秋田書店の漫画雑誌『Eleganceイブ』にて、2009年5月号から2010年7月号にかけて連載されました。単行本は一冊にまとめられており、その完成度の高さから2010年には文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選ばれています。「cocoon」とは英語で「繭（まゆ）」を意味し、本作のテーマや登場人物の名前にも関連が見られます。

ストーリー

物語は、第二次世界大戦末期の沖縄戦を舞台に、学徒隊として戦地に動員された少女たちの悲劇を描いています。主人公は女学生のサン。彼女は親友のマユをはじめとするクラスメイトと共に、激しい戦火の中で生き残ろうとします。傷ついた兵士たちの看護にあたる中で、絶望的な状況に直面しながらも、サンとマユは互いに支え合い、過酷な現実から逃れようともがき続けます。戦争の残酷さと、その中で失われゆく若い命、そして少女たちの間に芽生える切なくも強い絆が描かれた作品です。

舞台版

本作は、演劇団体マームとジプシーによって舞台化されました。脚本と演出は藤田貴大、音楽は原田郁子が担当しています。2013年8月、東京芸術劇場シアターイーストにて初演が行われ、高い評価を得ました。その後も再演が重ねられ、2015年には沖縄を含む全国6都市での巡演を実現。さらに、2020年に予定されていた再々演は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延により一度は延期されましたが、2022年に全国9都市での大規模な公演として無事上演されました。この舞台公演の模様は、WOWOWでの放送やU-NEXTでの配信が行われたほか、Blu-rayおよびDVDとしても発売されており、多角的な形で作品が届けられています。

テレビアニメ

2023年6月には、NHKでのテレビアニメ化が発表されました。アニメーションプロデューサーは、元スタジオジブリの舘野仁美と有村虎彦が務め、アニメーション制作はササユリが担当しています。制作はNHKエンタープライズが担いました。監督、絵コンテ、作画監督、そして脚本の一部は伊奈透光が担当し、脚本は岸本卓との共同で執筆されました。キャラクターデザインはめばち、音楽は牛尾憲輔が手がけています。主要キャストとして、主人公サンを伊藤万理華が、親友マユを満島ひかりがそれぞれ声優として演じました。NHK BSでは2024年3月29日深夜に先行放送が行われ、同年8月にはNHK総合（地上波）での放送も予定されています。

アニメのエンディングを彩る主題歌には、羊毛とおはなの楽曲「ずっと ずっと ずっと」を、サン役の伊藤万理華がカバーしたバージョンが採用されています。このカバー曲のアレンジは原田郁子が担当しており、舞台版の音楽との繋がりも感じさせるものとなっています。

主要キャスト（アニメ）

サン
声 - 伊藤万理華
物語の主人公である女学生。学徒隊に動員され、戦地で負傷兵の看護にあたります。過酷な状況下で多くの仲間を失いながらも、親友のマユと行動を共にし、互いを支え合いながら生き残ろうとします。

マユ
声 - 満島ひかり
サンの親友であり、共に学徒隊に動員された女学生。絶望的な戦場の只中にあっても常にサンの傍らに寄り添い、精神的な支えとなる重要な存在です。

主なスタッフ（アニメ）

原作 - 今日マチ子
監督・絵コンテ・作画監督 - 伊奈透光
脚本 - 伊奈透光、岸本卓
キャラクターデザイン - めばち
音楽 - 牛尾憲輔
アニメーションプロデューサー - 舘野仁美、有村虎彦
アニメーション制作 - ササユリ

主題歌（アニメ）

エンディングテーマ「ずっと ずっと ずっと ~cocoon Ver.~」
歌 - 伊藤万理華 / 作曲 - 千葉はな

書誌情報

漫画単行本は秋田書店より刊行されています。

今日マチ子『COCOON』 秋田書店〈Akita Lady's Comics Series〉、全1巻、2010年8月5日発売、ISBN 978-4-253-10490-6
今日マチ子『COCOON』 秋田書店〈秋田文庫〉、全1巻、2015年4月17日発売、ISBN 978-4-253-18138-9

関連作品

今日マチ子の作品には、本作『cocoon』の他、『アノネ、』、『ぱらいそ』があり、これら三作は戦争をテーマにした作品群として「戦争三部作」と位置づけられています。

漫画原作に加え、舞台、アニメと、様々なメディア展開を経て多くの人々に届けられている『cocoon』は、戦争の悲劇と、その中で懸命に生きようとする少女たちの姿を強く描き出し、今なお語り継がれるべき作品と言えるでしょう。

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