Color bars

東京事変、最後の輝き：ミニアルバム『color bars』

2012年1月18日、日本の音楽シーンに衝撃を与えたバンド、東京事変。彼らがEMIミュージック・ジャパンよりリリースしたミニアルバム『color bars』は、第2期東京事変の集大成にして、解散前の最後のスタジオアルバムとなりました。前作『大発見』から約半年ぶりとなる本作は、初回生産限定盤には、カラフルなカラーバー仕様のジャケット、メンバーのフォトカード、そして2012年のライブツアー「Domestique Bon Voyage」の抽選予約案内が封入されるなど、ファン垂涎の豪華仕様となっています。

メンバーそれぞれの個性と、バンドの深化

本作の特徴は、何と言ってもメンバー全員が1曲ずつ書き下ろした新曲5曲を収録している点です。ドラムの刄田綴色が初めて楽曲を提供し、ベースの亀田誠治は初めて作詞に挑戦。椎名林檎と浮雲の楽曲では、2人のツインボーカルが聴けるなど、各メンバーの個性が存分に発揮されています。さらに、全曲タイトルが7文字というこだわりも、東京事変らしい遊び心を感じさせます。

レコーディングにあたり、メンバー間では「最後だからといって、暗い曲ばかりではなく、前向きな作品にしよう」という暗黙の了解があったと言われています。亀田誠治は、このアルバムをフィギュアスケートのエキシビションに例え、華やかさと技術の高さを兼ね備えた作品に仕上がっていることを示唆しています。

個性あふれる5曲：それぞれの物語

アルバム収録の5曲は、それぞれに魅力的なストーリーを持っています。

今夜はから騒ぎ: 2011年のライブツアー「Discovery」中に制作され、先行配信、そしてミュージックビデオも制作されるなど、本作を代表する楽曲。他の4曲をより輝かせるために、椎名林檎が最後に仕上げたという渾身の1曲です。
怪ホラーダスト: 椎名林檎がボーカルを担当する予定でしたが、仮歌を聴いて、伊澤一葉の歌声が曲に最適だと判断し、伊澤がボーカルを担当。レコーディングの様子は非常にリラックスした雰囲気で行われたとのことです。
タイムカプセル: 亀田誠治が自身の父の死をきっかけに制作した、人生の移ろいを感じさせる楽曲。レコーディングは、亀田、伊澤、浮雲の3人だけで行われ、シンプルな編成ながらも心に響くメロディーが印象的です。ライブツアーでは、より壮大なアレンジに変化しました。
ｓａ＿ｉ＿ｔａ: 椎名林檎が「ニュー・ニュー・ウェイヴ」と表現した、浮雲が目指した「バンド感を消した」サウンド。クラブミュージックのような雰囲気で、踊りたくなるようなリズムが特徴です。
* ほんとのところ: 実は、『スポーツ』制作時から存在していた楽曲で、『大発見』への収録は見送られていました。メンバー全員がそのクオリティを高く評価しており、本作の制作に大きな影響を与えた重要な曲だと言えるでしょう。刄田綴色の周りの出来事を歌詞に反映している点も興味深い要素です。

そして、伝説へ…

『color bars』の発売後、東京事変は2012年1月20日放送の『ミュージックステーション』に出演。「今夜はから騒ぎ」とデビュー曲「群青日和」を披露し、その歴史に幕を閉じました。このミニアルバムは、華々しいキャリアの終止符を飾るにふさわしい、最高傑作と言えるでしょう。 それぞれの楽曲に込められた想いと、メンバーの個性が融合した『color bars』。東京事変の音楽性と、その魅力を余すことなく感じることができる、まさに最後の贈り物と言える作品です。そして、このアルバムは、音楽史に名を刻む彼らの伝説を、より鮮やかに彩るものとなりました。

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