Cool'n'Quiet

Cool'n'Quiet（クールンクワイエット）は、AMD K8アーキテクチャ以降のCPUに実装されている省電力技術です。その名称は "Cool and Quiet" の略であり、しばしば "CnQ" とも略されます。

概要

Cool'n'Quietの主な機能は、CPUの負荷状況に応じてプロセッサの動作電圧と周波数を動的に調整することです。これにより、消費電力と発熱を効果的に抑制できます。また、CPUの発熱が抑えられるため、冷却ファンの回転数を下げることが可能となり、システム全体の騒音低減にも貢献します。

この技術は、インテルのSpeedStepやAMD自身のPowerNow!といった他の省電力技術と類似していますが、これらの技術が主にバッテリー駆動時の動作時間延長を目的としているのに対し、Cool'n'Quietは電力消費の抑制と発熱の低減を重視している点が異なります。

Computerworld.jpが行ったテストでは、Cool'n'Quietを有効にした場合、ベンチマークテストの所要時間がわずかに増加する結果となりました。しかし、テスト全体の積算電力量は明らかに減少し、消費電力の抑制に非常に効果的であることが示されています。

駆動周波数と駆動電圧

Cool'n'Quietが有効なときのCPUの動作周波数と電圧は、CPUに設定されたP-State（パフォーマンスステート）によって決定されます。例えば、Athlon 64では、最小動作時には800MHz/1.3V（SH-C0リビジョン）または1GHz/1.1V（SH-CGリビジョン以降）で動作します。最大動作周波数までの範囲では、200MHz刻みで電圧が0.1V（DH-CGリビジョンまで）または0.05V（DH-D0リビジョン以降）刻みで変化します。マザーボードの設定によっては、HyperTransportの設定を変更することで、CPUの最低倍率をさらに下げることが可能です。

Athlon 64 FX（Socket939モデルのみ）の場合、最小動作時は1.2GHz/1.1Vのみが設定されており、中間的な設定は存在しません。

サポートプロセッサ

Cool'n'Quietは、以下のAMDプロセッサでサポートされています。

Athlon 64 (K8アーキテクチャ版 Athlon)
Athlon 64 X2 (Athlon X2)
Athlon 64 FX
Sempron: Socket 754/939では3000+以上、Socket AM2では3200+以上
Phenom: Cool'n'Quiet 2.0
Phenom II: Cool'n'Quiet 3.0
AMD Athlon II
AMD FX
AMD APU
AMD Ryzen
AMD Opteron
AMD EPYC

関連項目

PowerNow!
Optimized Power Management - Opteron(Rev.E)向けの省電力技術
Intel SpeedStep テクノロジ
PowerTune - IBM PowerPC 970の省電力技術

Cool'n'Quietは、CPUの省電力化と発熱抑制に貢献する重要な技術であり、AMDプロセッサの効率的な運用に不可欠な要素です。

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