CryENGINE

CryEngine（クライエンジン）

CryEngineは、ドイツのゲーム開発会社Crytekによって開発された、高度なグラフィックスとリアルタイムレンダリングを特徴とするゲームエンジンです。その柔軟性とパワフルな機能により、様々なジャンルのゲーム開発に利用されています。

特徴

CryEngineは、開発者が高品質なゲームを作成するための多様なツールと機能を備えています。

サンドボックスエディター: 全プラットフォームでWYSIWYG（見たままがプレイできる）リアルタイム表示を可能にし、迅速なアップデートをサポートします。
マテリアルエディター: ゲーム内のオブジェクトの質感や外観を詳細に調整できます。
フローグラフ: ゲームロジックを視覚的に構築できます。
トラックビューエディター: アニメーションやカットシーンの作成を支援します。
手続型配置ツールと遮蔽物生成: 環境オブジェクトの配置を自動化し、自然な風景を生成できます。
植物と地形生成: 大規模な自然環境を効率的に作成できます。
リアルタイムソフトパーティクルシステム: FXエディターと統合され、高度な視覚効果を作成できます。
道と川のツール: 自然な地形に沿った道や川を簡単に作成できます。
乗り物生成器: ゲーム内の乗り物を容易に作成できます。
時間制御システム: ゲーム内の時間経過を細かく調整できます。
ストリーミング: 大規模なゲーム環境でもスムーズに動作します。
パフォーマンス分析ツール: ゲームのパフォーマンスを最適化するための情報を提供します。
ビジュアルバジェットシステム: 視覚効果の負荷を管理できます。
マルチコアサポート: 複数のCPUコアを効率的に利用できます。
サンドボックス開発レイヤー: 開発プロセスを構造化できます。
プリレンダリング: 高品質なオフラインレンダリングをサポートします。
レスキューコンパイラ: コンパイル時のエラーを迅速に修正できます。
高度なライティング: 自然な光と動的な半影、放射照度のボリューム、遅延ライティング、リアルタイムグローバルイルミネーションをサポートします。
暗順応とハイダイナミックレンジライティング: 現実的な照明効果を再現できます。
スクリーン・スペース・アンビエント・オクルージョン (SSAO): オブジェクト間の影をリアルタイムで生成します。
カラーコレクション: 色彩調整を柔軟に行えます。
ウーバーシェーダーテクノロジー: 複雑なシェーダー処理を効率化します。
混合レイヤー: 複数のレイヤーを組み合わせて、複雑なテクスチャを作成できます。
法線マッピングと視差隠蔽マッピング: オブジェクトの表面の凹凸を表現します。
モーションブラーと被写界深度: スプライトベースのボケを使用し、リアルな視覚効果を生成します。
高品質な3D水表現: 水面の動きや反射をリアルに表現します。
動的な目に見える光の筋のエフェクト: 光の筋やボリューム感を表現します。
ボリュメトリックとレイヤー、そして視界距離のぼかし: 空気遠近感や視界距離によるぼかしを表現します。
PolyBump: 遠距離の凹凸を省略し、パフォーマンスを向上させる技術です。
高速テクスチャレンダリング: テクスチャの描画を高速化します。
スクリーン・スペース・ダイレクション・オクルージョン (SSDO): 拡張されたSSAO技術です。
平面充填とディスプレースメントマッピング: テクスチャの変形によって、ディテールを追加します。
スクリーンスペースリフレクション: 鏡面反射を表現します。
パーティクルのモーションブラーと影: パーティクルの動きによるぼかしや影を表現します。
キャラクターアニメーションシステム: 複雑なキャラクターアニメーションを作成できます。
キャラクター個別化システム: キャラクターの見た目を自由にカスタマイズできます。
パラメータのスケルタルアニメーション: 骨格アニメーションを柔軟に制御できます。
手続型モーションワーピングとIKソリューション: アニメーションを動的に調整できます。
顔アニメーションエディター: キャラクターの表情を詳細に作成できます。
表面下散乱: 皮膚などの半透明な材質をリアルに表現します。
AIエディターシステム: ゲーム内のAIを設計できます。
動的なパスファインディング: キャラクターの自動経路探索を行います。
レイヤーナビゲーションメッシュ: 複雑な地形での経路探索を効率化します。
自動化されたナビゲーションメッシュ生成: ナビゲーションメッシュを自動生成します。
タクティカルポイントシステム: 戦術的なAIの配置を制御します。
統一されたマルチスレッド物理エンジン: 現実的な物理シミュレーションをサポートします。
変形しやすく柔らかい物体の物理: 柔らかい物体の物理挙動をシミュレーションできます。
相互作用的で破壊できる環境: 破壊可能な環境を実装できます。
紐の物理: 紐やケーブルなどの物理挙動をシミュレーションできます。
ゲーム内サウンドのミックスとプロファイリング: サウンドをリアルタイムで調整できます。
データ駆動型サウンドシステム: データに基づいてサウンドを再生できます。
動的な音と相互作用的なミュージック: ゲームの状況に応じて音楽や音響効果を変化させます。
環境音: 環境音をリアルに表現します。
アニメーションに正確に合わせたサウンド: アニメーションと同期したサウンドを再生します。
サウンドの雰囲気: ゲームの雰囲気を高めるサウンドを制御します。
全プラットフォームでの3次元映像: どのプラットフォームでも高品質な3D映像を表示できます。

バージョン

CryEngineは、その歴史の中で複数のバージョンが存在します。

CryENGINE 1

ファーストパーソンシューティングゲーム「Far Cry」で使用された最初のゲームエンジンです。
Nvidiaの技術デモンストレーションとして開発が始まりましたが、後にゲーム開発に利用されました。
バージョン1.2では、バーテックスシェーダーとピクセルシェーダー3.0に対応し、描画機能が向上しました。
バージョン1.3では、ハイダイナミックレンジイメージ（HDR）ライティングに対応しました。
MMORPG「タワー オブ アイオン」にもライセンスされました。
Ubisoftが「Far Cry」シリーズの知的財産権とCryENGINEの永久使用ライセンスを取得しました。

CryENGINE 2

「Far Cry」の後継エンジンとして開発され、「Crysis」で使用されました。
「Crysis Warhead」にもアップデート版が使用されました。
MMORPG「Entropia Universe」のグラフィックスがCryENGINE 2にアップデートされました。
建築・都市計画のコンサルタント会社IMAGTP社が、建築物の完成予想図を作成するためにライセンスを取得しました。
新興開発会社Simpson Studiosが、火星を舞台とするメタバース「Blue Mars」のためにライセンスを取得しました。
Ringling College of Art & Designが教育目的でライセンスを取得しました。

CryENGINE 3

2009年に発表され、Microsoft Windows、PlayStation 3、Xbox 360、Wii Uに対応しました。
DirectX 9、10、11での開発に対応しています。
「Crysis 2」の開発に使用されました。
カスケードライトプロパゲーションボリューム技術によるリアルタイムグローバルイルミネーションをデモンストレーションしました。
オーストラリア国防軍が、仮想訓練シミュレーターとして使用しました。
MOD SDKが無償で公開されました。
非商用ゲーム制作のための無償版がリリースされました。
コンソール版「Crysis」の移植に使用されました。

CryEngine (第4世代)

Crytekは、次世代のCryEngineにはバージョンナンバーを付けないと発表しました。
PlayStation 4|PlayStation_4、Xbox One、Wii Uなどの次世代プラットフォームをサポートしました。

CryEngine V

CryENGINEの最新バージョンです。

開発

CryENGINEのレベルエディターは、元々「サンドボックスエディター」と呼ばれていました。このエディターには、スクリプトやアニメーション、オブジェクトの作成を補助する機能が含まれており、多くのCrytekのゲームで使用されてきました。

サンドボックスエディターは、広大な地形やミッションプログラミングの自由度に重点を置いており、オブジェクトを空の空間に追加していく「足し算」方式を採用しています。アルゴリズムを使用してテクスチャを配置したり、オブジェクトを配置したりすることで、広大な地形を効率的に作成できます。

また、WYSIWYP（見たままがプレイできる）機能により、エディター内でゲームを事前に動作させ、プレイヤーの視点を確認することができます。乗り物、物理、スクリプト、ハイクオリティライティングなど、CryENGINEの全ての機能をサポートしています。

CryENGINEを使用しているゲーム一覧

CryENGINE 1:
Far Cry
CryENGINE 2:
Crysis
Crysis Warhead
CryENGINE 3:
Crysis 2

その他ライセンスされたもの

ENODO：建築シミュレーションプログラム。
Ringling College of Art and Design：教育用プログラム。
Darmstadt University of Applied Sciences：大学のゲーム開発学科。
Games Academy：指導用。
Inreal Technologies：インタラクティブ仮想現実シミュレーター。

脚注

詳細な情報は外部リンクを参照してください。

外部リンク

CryEngine - 公式サイト （英語）
CryEngine フォーラム - 公式サイト（英語）
CryDev.net - 公式サイト（英語）
Crytek - 公式サイト（英語）
漆黒稲荷 - 日本語解説サイト
CryEngineおよびLauncher（CryEngineのエンジンランチャー）リリースノートページ - 公式サイト （英語）
* CryEngineエンジンマニュアル - 公式サイト（英語）

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