D&Bトゥゲザー

『D&Bトゥゲザー』（D & B Together）は、アメリカの夫婦デュオ、デラニー&ボニーが「デラニー&ボニー&フレンズ」名義で1972年に発表したスタジオ・アルバムです。この作品は、彼らが新たに契約を結んだコロムビア・レコードからの第一弾リリースであると同時に、結果としてデュオ名義での最後のスタジオ録音盤となりました。

アルバムリリースの前年である1971年、デラニー&ボニーはデイヴ・メイソンの楽曲「オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ」をシングルとして発表しており、これは全米チャートで20位を記録するヒットとなっていました。しかし、当時のプロデューサーであったジェリー・ウェクスラーは、デラニー・ブラムレットとボニー・ブラムレット夫妻の関係が悪化していることを感じ取り、彼らの契約上の権利をアトコ・レコードからコロムビア・レコードへ移管することを決めました。このような背景のもと制作されたのが本作です。

本作の収録曲は、主に1971年に録音された10曲で構成されており、その中には前述のヒットシングル「オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ」の別ミックスバージョンも含まれています。加えて、彼らがエリック・クラプトンと共演して1969年にリリースし、シングルヒットとなった「カミン・ホーム」と、そのシングルのカップリング曲であった「スーパースター」も収録されています。特に「ウェイド・イン・ザ・リヴァー・ジョーダン」は、1971年公開の映画『バニシング・ポイント』にデラニー&ボニーが出演した際に劇中で歌われた「ユー・ゴット・トゥ・ビリーヴ」の異なるバージョンとして知られています。また、「サウンド・オブ・ザ・シティ」には、ティナ・ターナーがゲストとして一部パートでリード・ボーカルを務めており、聴きどころの一つとなっています。

『D&Bトゥゲザー』は1972年にリリースされ、同年にはアルバムからのシングルカット曲「ムーヴ・エム・アウト」が全米チャートで59位にランクインしました。しかし、アルバム発表と同じ年のうちにデラニーとボニーは離婚に至り、デラニー&ボニーとしての活動は終焉を迎えます。その後、二人はそれぞれソロ・アーティストとして、引き続きコロムビア・レコードと契約を継続し、音楽活動を行いました。

本作のCD化の歴史も特筆すべき点があります。世界で初めてCDとしてリリースされたのは日本であり、1994年1月に実現しました。この時点では、オリジナルLPと同様の12曲が収録されていました。その後、彼らの母国であるアメリカでは、2003年4月にレガシー・レコーディングスから初めてCD化されました。このアメリカ盤では、デラニー・ブラムレットのソロ・アルバムから4曲、ボニー・ブラムレットのソロ・アルバムから2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。日本でも同年8月には、このアメリカ盤に準拠した形で再リリースされ、ボーナストラックを含むバージョンが入手可能となりました。

オリジナル盤には「オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ」や「カミン・ホーム」「スーパースター」といった代表曲、そして映画関連曲や豪華ゲスト参加曲が収められており、デュオとしての最終章を飾る重要な作品です。デラニー・ブラムレットはボーカル、ギター、フレットレスベース、チェロを、ボニー・ブラムレットはボーカルを担当しました。彼らのソウルフルでゴスペルライクなサウンドが凝縮されたアルバムとして、今なお多くのファンに聴き継がれています。

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