デラニー&ボニー

デラニー＆ボニー（Delaney & Bonnie）

デラニー＆ボニーは、アメリカ合衆国のミュージシャン、デラニー・ブラムレットとボニー・ブラムレット（旧姓オファレル）夫妻によって結成されたソウルフルなロック・デュオです。時には「デラニー＆ボニー＆フレンズ」という名義で、多数のサポートメンバーを従えた大編成バンドとして活動し、特にエリック・クラプトンとの共演が広く知られています。

ボーカルとギターを担当したデラニー・ブラムレットは1939年7月1日にミシシッピ州で生まれ、1959年にロサンゼルスへ移りました。テレビ番組「シンディグ！」のハウスバンドで活動し、レオン・ラッセルらとの交流を深めます。一方、ボーカルのボニー・ブラムレットは1944年11月8日にイリノイ州で生まれ、メンフィスに移り住んだ後、様々なアーティストのバックコーラスを務めました。アイク＆ティナ・ターナーの専属ボーカルグループ、アイケッツに白人として初めて参加した経歴を持ちます。

二人は1967年にロサンゼルスで出会い、間もなく結婚してデラニー＆ボニーを結成します。翌1968年にはスタックス・レコードと契約し、ブッカー・T＆ザ・MG'sやアイザック・ヘイズといったメンフィスの名だたるミュージシャンのサポートを得てレコーディングを行いますが、この時の音源は一旦発表が見送られます。その後、二人はメンフィスで知り合ったピアニスト、ボビー・ウィットロックを伴ってロサンゼルスに戻り、エレクトラ・レコードと新たに契約を結びます。そして1969年春、アルバム『オリジナル・デラニー＆ボニー（Accept No Substitute）』でメジャーデビューを果たしました。実はこの頃、ビートルズのジョージ・ハリスンが彼らの才能に注目し、アップル・レコードへの勧誘を試みたものの、実現には至りませんでした。

1969年、デラニー＆ボニーはブラインド・フェイスのアメリカ・ツアーでオープニングアクトを務める機会を得ます。このツアーを通じて、ブラインド・フェイスのギタリスト、エリック・クラプトンと親交を深めました。ブラインド・フェイスが解散すると、クラプトンはデラニー＆ボニー・アンド・フレンズに加入することになります。デュオは活動の場をアトコ・レコードに移し、同年の12月にはデラニーとクラプトンが共作した楽曲「カミン・ホーム」を、豪華なメンバーが参加した「デラニー＆ボニー・アンド・フレンズ・フィーチャーリング・エリック・クラプトン」名義でシングル発表。これが全英シングルチャートで16位を記録するヒットとなりました。シングルのB面に収録された「グルーピー（スーパースター）」は、ボニーとレオン・ラッセルの共作で、後にカーペンターズによるカバーが「スーパースター」として世界中で大ヒットしました。

また、スタックス・レコードで発表が見送られていた音源も、1969年にアルバム『ホーム（Home）』として陽の目を見ます。年末にはクラプトン、ウィットロックに加え、カール・レイドル、ジム・ゴードン、デイヴ・メイソン、ボビー・キーズ、リタ・クーリッジといった当時を代表するミュージシャンが参加した大編成バンドでイギリス・ツアーを敢行。その白熱したライブの模様を収めたアルバム『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン（On Tour with Eric Clapton）』が1970年3月に発表され、全米29位、全英39位とヒットを記録しました。このツアーに参加したクラプトン、ウィットロック、レイドル、ゴードンの4人は、後にデレク・アンド・ザ・ドミノスを結成することになります。

その後も、デュオはスライドギターの名手デュアン・オールマンらとの交流を深め、『デラニーよりボニーへ（To Bonnie from Delaney）』（1970年）、アンプラグド色の強い作風でジョー・コッカーやグラム・パーソンズも参加した『モーテル・ショット（Motel Shot）』（1971年）といった作品を発表。映画『バニシング・ポイント』にも出演するなど、活動の幅を広げました。1972年にはコロムビア・レコードに移籍し、アルバム『D&Bトゥゲザー（D&B Together）』を発表しますが、この作品を最後にデラニー＆ボニーとしての活動を終え、二人は離婚することとなります。

デュオ解散後、デラニーとボニーはそれぞれソロアーティストとして歩みを進めます。デラニーは1972年にソロデビューアルバムを発表し、1970年代に数枚の作品をリリースした後、しばらく表舞台から遠ざかりますが、2000年代に入りカムバック作を発表するなど精力的に活動を続けました。しかし、2008年12月27日、胆嚢手術後の合併症によりロサンゼルスで惜しくもその生涯を閉じました。

一方のボニーは、1987年頃からボニー・シェリダン名義で女優としても活動を開始します。歌手としては長いブランクがありましたが、2002年に久々のアルバムを発表し、シンガーとしても復帰を果たしました。二人の間には娘のベッカ・ブラムレットがおり、彼女もまた歌手として活動し、フリートウッド・マックのアルバムに参加するなど活躍しています。

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