DD-WRT

DD-WRTは、主にルーターなどの組み込みシステム向けに開発されたLinuxディストリビューションです。OpenWrtをベースとしており、ルーターのファームウェアを置き換えることで、その機能を大幅に拡張できます。

DD-WRTの特徴

組み込みシステムは、パソコンのように規格が統一されていないため、各製品ごとに対応が必要です。DD-WRTの対応状況は、公式サイトの「Router Database」で確認できます。家庭用ルーターの非公式ファームウェアとしては最も有名であり、多くのユーザーに利用されています。

機能

DD-WRTは、オープンソースで開発が進められているため、メーカーの制約に縛られず、最新技術を積極的に導入できます。これにより、ルーターのハードウェア性能を最大限に引き出すことが可能です。例えば、VPNプロトコルへの対応や、電波出力を純正ファームウェアの10倍近くまで引き上げることができます。また、Unix系OSで一般的なパッケージも利用できるため、ルーターの機能を自由に構成できます。

これらの高度な機能を利用できる反面、ルーターの処理負荷や消費電力、発熱が増加したり、動作が不安定になることがあります。特に安価なルーターでは、CPU性能に余裕がないため、高度な機能を有効化するとスループットが低下する場合があります。

ルーターの本来の目的とは異なりますが、デーモンを常駐させることで、低消費電力のサーバーとして運用することも可能です。

主な用途

追加投資なしでルーターの機能を追加する
ジャンク品のルーターを再生する
ルーターを流用してサーバーを構築する

日本における利用と電波法

DD-WRTを導入すると、メーカーが技術基準適合証明を申請した際の工事設計とは異なる状態になる可能性があります。その場合、技適マークが無効となり、無線LANを利用すると電波法に違反する恐れがあります。

DD-WRT自体は単なるソフトウェアであり、初期設定では無線LANはOFFになっています。また、固定スイッチとしての利用や、電波暗室での利用も想定されています。そのため、ファームウェアの書き換え自体が電波法に触れるわけではありません（メーカーが同一性保持権を主張する場合は除く）。

電波法は無線機器に対する法律であり、無線LANをONにしない限りは法律に触れません。しかし、オープンスペースで無線LANをONにした時点で電波法違反が成立します。したがって、DD-WRTを適用した状態で無申請で利用する場合は、電波暗室での利用が必須となります。

電波法違反に関する注意

総務省の定める技術基準適合証明（技適マーク）がない機器、または改造された機器の使用は、無線局の無免許開設とみなされ、電波法第110条第1号により1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑に処される可能性があります。

メーカーによる利用

バッファローは、日本の電波法に適合するように仕様を変更し、DD-WRTを自社製品に組み込んで販売したことがあります。

その他の注意点

OpenWrt: DD-WRTのベースとなっているLinuxディストリビューションです。
技適マーク: 無線機器が電波法に適合していることを示すマークです。
電波法: 無線機の仕様変更には総務省への届出が必要です。
電波障害: 同じチャネルを使用している他のアクセスポイントの電波を妨害する可能性があります。

外部リンク

The DD-WRT Project 公式サイト

DD-WRTは、ルーターの機能を拡張できる強力なツールですが、電波法に違反しないように注意して利用する必要があります。

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