DOLCE (携帯電話)

DOLCE（ドルチェ）

DOLCE（ドルチェ）は、NTTドコモがかつて展開していた携帯電話端末のブランド名、あるいはシリーズ名です。

概要とコンセプト

このシリーズは、「大人ケータイ」という独自のコンセプトのもとに開発されました。当時のNTTドコモでは、主に携帯電話初心者や50代以上のシニア層をターゲットとした「らくらくホン」シリーズが既に展開され、大きな支持を得ていました。しかし、「らくらくホン」に対して持たれがちな高齢者向けというイメージや、一部ユーザーにとっては必ずしも十分ではないと感じられる機能を敬遠する層も存在しました。

DOLCEは、そうした従来のシニア向け端末の枠にとらわれず、機能の簡便さだけでなく、デザイン性や質感にもこだわりたい、大人のユーザー層を新たなターゲットとして見据えて企画されました。携帯電話に慣れていない方にも使いやすい配慮はありつつも、低機能一辺倒ではなく、品質感や操作する上での満足度を高めることを目指したシリーズと言えます。

特徴

DOLCEシリーズの大きな特徴の一つとして、その外観デザインが挙げられます。特に、端末のボディ表面には人工皮革が採用されており、これにより独特の手触りや高級感が演出されています。この素材の採用は、プラスチックが主流だった当時の携帯電話市場において、他の端末との差別化を図り、「大人ケータイ」というコンセプトを視覚的・触覚的に表現するための重要な要素でした。

製品ラインナップと歴史

DOLCEシリーズとしてこれまでに発売された機種は、合計2機種です。これらの端末はいずれも、電気機器メーカーであるシャープによって開発・製造されました。

シリーズ初代となる最初の機種は、SH851iという型式で登場しました。その後、シリーズ2代目としてSH902iSLが発売されます。この2代目モデルは、当時のNTTドコモの主力シリーズであった「90xシリーズ」の一員としてラインナップに加わりました。

各機種の主な発売日は以下の通りです。

2005年8月5日: DOLCE（SH851i）が発売されました。
2006年7月7日: DOLCE SL（SH902iSL）が発売されました。

2機種の展開に留まったDOLCEシリーズは、短い期間でその歴史を終えました。しかし、「大人ケータイ」というコンセプトや人工皮革の採用など、従来のカテゴリーに属さない独自の方向性を打ち出したシリーズとして記憶されています。

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