DUT1

DUT1 (ΔUT1) とは

DUT1（ΔUT1）とは、地球の自転に基づいて定められる世界時（UT1）と、原子時計によって正確に刻まれる協定世界時（UTC）との間の差を指します。この差は、地球の自転速度が一定ではないことや、秒の定義自体にわずかなずれがあるために生じます。

具体的には、DUT1は以下の式で定義されます。


DUT1 = UT1 - UTC

DUT1 が生じる背景

地球の自転は、潮汐による減速、海水や大気といった地球内部の質量の移動など、様々な要因によって影響を受けます。このため、地球の自転速度は一定ではなく、UT1は時間とともに変動します。一方、UTCは原子時計に基づいており、極めて安定した時間を提供します。

さらに、国際単位系（SI）における秒の定義は、現行の平均太陽時における秒よりもわずかに短く定義されています。この定義のずれも、UT1とUTCの間に差が生じる要因の一つです。

UTCの調整：閏秒

UTCは、DUT1が-0.9秒から+0.9秒の範囲内に収まるように、閏秒（うるうびょう）によって調整されます。閏秒は、必要に応じてUTCに1秒を加えることで、UT1とUTCのずれを小さく保つ役割を果たします。この調整によって、UTCは実際の太陽の動きに概ね一致するよう維持されます。

DUT1 の情報源

DUT1の予測値は、国際地球回転・基準系事業（IERS）が発行する「Bulletin A」で公開されます。この情報は、精密な時間管理が必要な分野、例えば天文学や測地学などで活用されます。また、一部の標準電波局（例えば、アメリカのWWVやイギリスのMSF）は、0.1秒精度のDUT1の週間速報を放送しています。

日本の標準電波局JJY（長波）は、残念ながらDUT1の情報を放送していません。

DUT1 の重要性

DUT1は、地球の自転速度と原子時計による時間とのずれを表す重要な指標であり、様々な分野で利用されています。正確な時間管理のためには、UT1とUTCのずれを把握し、必要に応じて調整することが不可欠です。

参考情報

• - IERS Rapid Service/Prediction Center: http://www.iers.org/IERS/EN/DataProducts/RapidData/rapid.html
• - Wolfram ScienceWorld - Time: http://scienceworld.wolfram.com/astronomy/Time.html
• - US Naval Observatory - Time Service Department: http://maia.usno.navy.mil/ser7/deltat.data
• - [日]]本標準時プロジェクト - Announcement of DUT1 (NICT): [https://jjy.nict.go.jp/QandA/reference/dut1.html

これらの情報源を参照することで、DUT1に関するより詳細な情報を得ることができます。

この説明が、DUT1の理解を深める一助となれば幸いです。

もう一度検索