DVCAM

DVCAM（ディーブイカム）は、ソニーが開発した業務用デジタルビデオフォーマットです。家庭用DV規格をベースに、より安定した映像記録を目指して開発されました。主な特徴として、トラック幅をDVの10μmから15μmに拡大し、トラックリニアリティの安定性を向上させています。

フォーマットの概要

DVCAMでは、記録媒体にメタル磁性体を真空蒸着させたテープ（ME）を使用します。カセットサイズはSTDとminiの2種類があり、それぞれ最長で184分と42分の記録が可能です。映像信号は、525/60圏では4:1:1、625/50圏では4:2:0のコンポーネント信号を記録します。フレーム内圧縮方式を採用し、4:1:1方式のベースバンド信号（125Mbps）を25Mbpsに圧縮して記録することで、DVCPRO25と同等の画質を実現しています。DVCAMは、主にCS番組やVP制作、企業内ビデオの制作に使用されていました。

DVとの互換性

DVCAM機器は、家庭用DVフォーマットとの互換性を持っており、DVで記録されたテープの再生が可能です。また、非公式ながらソニー製のDV機器でもDVCAMテープの再生が可能な機種があります。ただし、非ソニー製のDV機器でDVCAMテープを再生すると、映像の乱れが発生する場合があります。DVCAM VTRでは、ドロップアウト対策として、D2-VTRで実績のあるサファイヤ製ブレードが全モデルに採用され、家庭用DV機器と比較して信頼性が向上しています。

記録メディア

DVCAMテープは、材質やサイズ、識別口など、品質以外はDVテープと同じ仕様となっています。そのため、DVテープを使用してDVCAM記録を行うことも可能です。しかし、DVCAMテープは蒸着（ME）型を採用しているため、磁性面の剥離が起こりやすく、塗布（MP）型を採用しているDVCPROなどの他の業務用VTRと比較すると、ドロップアウトが発生しやすいという指摘があります。この点については、スタジオVTRのDSR-2000ではヘッドを2倍搭載しDMC再生を可能にすることで、リニアリティの悪化によりドロップアウトが発生するテープでも、高い確率で再生することができます。

近年の状況

2012年現在、HDTVが主流になったことに伴い、DVCAM関連の機器はすべて販売が終了しています。しかし、DVCAM方式の記録フォーマットは、HDVおよびXDCAMに引き継がれています。ソニー製の業務用HDV機器はすべてDVCAMの記録・再生に対応しており、記録用ビデオテープについては現在も販売が継続されています。

機器ラインナップ

DVCAMには、様々な用途に対応できるよう、以下のような機器がラインナップされていました。

一体型カメラ（ハンドヘルドタイプ）
一体型カメラ（ショルダータイプ）
池上通信機製カメラ
ドッカブルデッキ
ポータブルデッキ
スタジオVTR
簡易型（端末用・エントリークラス）VTR

まとめ

DVCAMは、DV規格をベースに業務用としての信頼性を高めたビデオフォーマットであり、その高い画質と安定性から、多くのプロフェッショナルに利用されてきました。現在はHDフォーマットに移行が進んでいますが、その技術は後継フォーマットにも引き継がれています。

外部リンク

ソニー 映像制作&編集用機材 DVCAM
ソニー 1996年10月23日 プレスリリース “DVCAM”のラインナップを拡充
ソニー 1998年4月1日 プレスリリース “DVCAM”のラインナップを拡充。
* ソニー 1999年3月19日 プレスリリース “DVCAM”の最上位機種としてデジタルカセットレコーダー及びデジタルカムコーダーを発売

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