HDV

HDV規格：ハイビジョン映像記録方式

HDV（High-Definition Video）は、ハイビジョン画質の映像をデジタルビデオテープに記録する規格です。2003年にJVCケンウッド、ソニー、キヤノン、シャープの4社によって策定され、民生用と業務用機器で広く利用されました。

DV規格との関係性と技術的特徴

HDV規格は、既存のDV規格をベースに開発されました。DV規格では当初からHD仕様が検討されていましたが、色信号の圧縮比が高く、記録時間が短くなるなどの課題があり、実用化には至りませんでした。HDV規格はDV規格と物理層を共有することで、既存のハードウェアやMiniDVテープを流用し、コストパフォーマンスを高めています。

映像と音声の圧縮には、映像にMPEG-2、音声にMPEG-1 Audio Layer 2を採用。これにより、ハイビジョン映像を比較的コンパクトなMiniDVテープに記録することを可能にしています。データの信頼性を高めるため、エラー訂正能力を強化したHDV用カセットテープも販売されていました。

記録メディアと接続性

記録メディアには、標準的なDVカセットテープとMiniDVカセットテープが使用されました。テープ走行速度や記録ピッチはDV規格に準拠しており、記録時間はDV規格と同じです。

外部機器との接続には、IEEE 1394（i.Link）が主に使用されましたが、USBやHDMI、HD-SDIといったデジタルビデオインターフェースを搭載した機器も存在しました。一部のBDレコーダーでは、i.LINK経由でHDVデータの無劣化ダビングも可能でした。

編集と互換性

HDVは、DVと同様にパーソナルコンピュータを使ったノンリニア編集との親和性が高く、Avid Xpress Pro、Adobe Premiere、Final Cut Proなど多くの編集ソフトに対応していました。編集後の映像は、HDV形式で出力し、MiniDVテープに書き戻すこともできました。

HDV規格の種類

HDV規格には、1080iと720pの2種類があります。

HDV 1080i: 1440×1080画素、インターレース方式。秒間59.94/50フィールド（NTSC/PAL）で、約25MbpsのMPEG-2ビデオで圧縮されます。音声はMPEG-1 Audio Layer 2で圧縮され、48kHz、16ビットステレオオーディオが記録されます。
HDV 720p: 1280×720画素、プログレッシブ方式。秒間30,60/25,50フレーム（NTSC/PAL）で、約19MbpsのMPEG-2ビデオで圧縮されます。音声は、1080iと同様の方法で圧縮されますが、非圧縮音声データの記録オプションも存在しました。

対応機器と現状

多くのカムコーダーやデッキが各社から発売されましたが、現在では民生用、業務用ともに生産が終了しています。（2016年3月時点）業務用の一部では、録画用テープの供給は継続されています。

まとめ

HDV規格は、DV規格を基盤としたハイビジョン映像記録方式として、発展に貢献しました。コストパフォーマンスの高さや既存機器との互換性から、普及しましたが、AVCHDやその他の技術の発展により、現在は歴史的意義を持つ規格となっています。

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