DVD-VR

DVD-VRフォーマットの概要

DVD-VR（DVD Video Recording Format）は、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMといった書き込み可能なDVDメディアで利用されるアプリケーションフォーマットです。一般的に家電製品では「VRモード」と呼ばれ、再生専用のDVD-Videoとは異なる、互換性のない規格となっています。DVD-Videoがパッケージソフトの配布を目的とするのに対し、DVD-VRは主に家庭用レコーダーによる録画を目的として開発されました。

DVD-VRの特徴とDVD-Videoとの比較

DVD-VRは、DVD-RAMへの映像記録フォーマットとして誕生しました。基本的な部分はDVD-Videoフォーマットを踏襲していますが、大きな違いは編集機能の豊富さです。DVD-VRでは、録画済みの映像を自由に分割、結合、カットしたり、再生順序を変更するなどの編集が可能です。これはDVD-Videoにはない大きな利点です。

また、解像度についてもDVD-Videoよりも柔軟性があります。DVD-Videoでは限られた解像度しか利用できませんでしたが、DVD-VRでは中間解像度もサポートしています。例えば、480×480ピクセルや544×480ピクセルといった解像度も使用可能です。さらに、16:9ワイド映像のスクイーズ記録も、D1解像度以外でも利用できるようになりました。

音声面では、2チャンネル音声の場合、チャンネルの選択切り替えによるモノラル音声再生が可能です。また、二ヶ国語放送の録画においても、リアルタイム視聴時と同様に音声の選択切り替えが可能なデュアルチャンネルでの記録が可能です。これは、プロ野球中継など副音声解説付きの番組を録画する際に非常に便利です。

デジタル放送番組の録画においては、DVD-VRはCPRM（Content Protection for Recordable Media）に対応しています。CPRMは著作権保護技術であり、コピー制御情報が付加されたデジタル放送を録画する際に必須です。DVDメディアでCPRMに対応できるのはDVD-VRモードのみであるため、デジタル放送を録画するにはDVD-VRモードが不可欠です。ただし、CPRMに対応していれば、DVD-RAM、DVD-RW、DVD-Rといったメディアの種類を問わず記録可能です。

DVD-RAM(VR)ではファイナライズの概念はありませんが、DVD-RW(VR)やDVD-R(VR)ではファイナライズが必要な場合があります。しかし、DVD-Videoと異なり、一般的にはファイナライズは必須ではありません。

一方、DVD-VRのデメリットとしては、DVD-Videoとの互換性の問題が挙げられます。当初は標準的なDVDプレーヤーでは再生できませんでしたが、現在では多くのプレーヤーが対応しています。ただし、一部の機種ではCPRMに対応していないため、デジタル放送を録画したディスクが再生できない場合があります。また、音声ストリーム数、副映像ストリーム数、ビットレート上限値などはDVD-Videoよりもやや低い値に制限されています。

メニュー機能とファイルシステム

メニュー機能においてもDVD-Videoと違いがあります。DVD-Videoではメニューがデータとして組み込まれますが、DVD-VRでは再生機器側の機能に依存します。そのため、DVD-VRではメニューに組み込めるデータの種類が豊富です。ファイルシステムはUDF 2.0を採用しています。

規格仕様の詳細

DVD-VRの規格仕様はDVD-Videoとほぼ同様ですが、いくつかの違いがあります。解像度はNTSCとPALシステムそれぞれに複数の解像度が用意され、MPEG-2プログラムストリームによる多重化、MPEG-1/MPEG-2による映像符号化、リニアPCM、Dolby Digital、MPEG-1/MPEG-2オーディオによる音声符号化などがサポートされています。

関連ソフトウェアとメディア

DVD-VRで録画した動画の編集や管理には、パナソニックの「DVD-MovieAlbum」といったソフトウェアが利用できます。当初はDVD-RAMとDVD-RWのみがVRモードに対応していましたが、2004年にはDVD-Rも対応するようになりました。

その他の関連規格

DVD-VR以外にも、DVD+VR、DVD-SR、DVD-AR、BDAV、HD DVD-VR (HDVR)、HD Rec、AVCRECといった関連規格が存在しますが、これらはDVD-VRとは異なるフォーマットです。

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