PAL

PAL（Phase Alternating Line）

PALは、カラーコンポジット映像信号の規格として知られています。この技術は1967年に西ドイツの技術者、ヴァルター・ブルッフによって開発されました。主にヨーロッパ、ASEAN諸国、中東の一部、アフリカ、ブラジル、オーストラリアなどで広く導入されています。また、日本ではNHKワールドTVがPAL方式を使用しています。

PALの特徴と技術的背景

PAL方式は、その名の通り、映像信号の各走査線ごとに色情報の位相を反転させることで知られています。この機能により、ある程度の位相エラーを自動的に補正することが可能です。これに対して、NTSC方式では受信機側で手動での色合い補正が必要であるため、昔から「二度と同じ色は出ない」といったジョークも生まれました。これがPALが「ついに完全に」または「ついに安らぎが」と称される理由の一つです。

しかしながら、位相エラーが大きくなると補正ができず、ハノーファー・バーズと呼ばれる縞模様を形成してしまうことがあります。現在の技術では、これを補正するためのる別の規格も導入されています。

白黒放送からカラーテレビへ

テレビ放送の初期段階では白黒映像が主流でしたが、その後、カラーテレビの普及に伴い、各国で異なる上映規格が定められました。特に、アメリカではNTSCが、欧州ではPALが採用されています。 PALは通常、625本の走査線で構成されるフレームを25フレーム毎秒で放送され、NTSC同様に飛び越し走査が行われます。各フレームは2つのフィールドに分かれ、これが交互に表示される仕組みです。この方式は、視覚のフリッカーを軽減しながらも帯域幅を節約する目的で考案されたものです。

PALのバリエーション

PALには多様なバリエーションがあります。

• - PAL-M：これはNTSCとPALを組み合わせた規格で、ブラジルで使用されています。
• - PAL-N：アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイで用いられる狭帯域のPAL規格です。
• - PAL-I：イギリスで使用される方式。
• - PAL-B/G：ヨーロッパの多くの国で使われる規格であり、PAL信号の基本となります。
• - PAL60：こちらは正式な放送規格ではありませんが、NTSCで録画されたコンテンツをPALのテレビで視聴するために広く利用されています。

PAL信号の技術的側面

PAL B/G規格における信号の特徴は以下の通りです：

• - 水平同期は12.05µs、垂直同期は1.6msです。
• - PALはインターレース方式で、2つのフィールドが組み合わさることで1つの完全な画像フレームが形成されます。
• - ルミナンス（Y）は、赤、緑、青の信号（R′、G′、B′）から生成され、クロミナンス（U、V）信号はそれぞれ異なる方法で送信されます。

ルミナンスの計算公式：
Y = 0.299R' + 0.587G' + 0.114B'

クロミナンスの計算公式：
U = 0.492(B' - Y)
V = 0.877(R' - Y)

PAL使用国・地域

PALは多くの国で使用されていますが、主な地域は以下の通りです：

• - PAL B/GまたはPAL D/K：ヨーロッパ、アジア、南アメリカ（フォークランド諸島）、アフリカ、オセアニア
• - PAL-I：イギリス、香港、マカオ、南アフリカ共和国
• - PAL-M：ブラジル（NTSC方式及びPAL-M）
• - PAL-N：アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ

PAL規格は1998年に国際電気通信連合（ITU）によって正式に定義されており、テレビ放送の発展に重要な役割を果たしてきました。このように、PALは多くの国で採用されており、その技術的特徴と多様性からも注目されています。

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