Defective by Design

Defective by Designとは

Defective by Design（設計不良）とは、フリーソフトウェア財団（FSF）が主導する、デジタル著作権管理（DRM）に反対する運動です。DRMは、ユーザーが購入したデジタルコンテンツ（映画、音楽、書籍、ソフトウェアなど）の使用を制限する技術であり、これに対し、Defective by Designは、DRMが製品を意図的に欠陥化させ、ユーザーの自由を侵害していると主張しています。

この運動は、DRMを「デジタル制約管理」と呼び、ユーザーが自由にメディアを利用できる権利を制限するものであると批判しています。そして、メディア企業やDRM技術の開発者が、デジタルコンテンツの利用を制限することで、ユーザーの権利を侵害していると非難しています。

DRMの影響

DRMは、音声、映像、ゲームなど、さまざまなマルチメディア製品に利用されており、著作権侵害の防止を名目に、ユーザーの自由を制限します。具体的には、メディアの複製を制限したり、非認証機器での利用を禁止したりします。また、DVDの広告スキップを妨害したり、異なる製品間での互換性を損なわせるなど、ユーザーの利便性を大きく損なうことがあります。

DRMは、技術的に迂回することも可能ですが、それは容易ではなく、また合法的な利用すら妨害する可能性があります。さらに、DRMは、ユーザーの意図に反してコンピュータを動作させる可能性も指摘されています。

Defective by Designの歴史

Defective by Designは、FSFとCivicActionsというオンラインアドボカシー企業が共同で立ち上げた運動です。2006年 5月、マイクロソフトのWindows Hardware Engineering Conference（WinHEC）に合わせて、DRMへの抗議活動を開始しました。この抗議活動では、FSFのメンバーが化学防護服を着用し、「DRM技術を内包するマイクロソフト製品は設計からして欠陥である」というメッセージを伝えました。

その後、この運動は、アメリカレコード協会などの組織にDRMの立場を問いただすキャンペーンを展開したり、U2のボノと会談するなど、積極的な活動を行いました。2006年 10月3日には、「反DRMデー」を宣言し、Apple Store前で抗議デモを実施しました。さらに、BadVista運動と共に、Windows VistaのDRMやTrusted Computing機能に対する抗議活動も行いました。

タギング・キャンペーン

Defective by Designのウェブサイトでは、Amazon.comの商品タグ付け機能を利用したタギング・キャンペーンを展開しています。このキャンペーンでは、賛同者がDRMを搭載した製品に'defectivebydesign'タグを付けることで、DRMの問題を広く訴えています。対象となる製品は、DVDプレーヤー、DRM保護されたDVD、Windows Vista、Zune、iPodなど多岐にわたります。

その他の活動

Defective by Designは、DRMに関する啓発活動だけでなく、関連するさまざまな問題にも取り組んでいます。たとえば、著作権法の問題や、Trusted Computing技術の問題、ハードウェアの制限など、デジタルコンテンツの自由に関わる幅広いテーマで議論を行っています。

まとめ

Defective by Designは、DRMによるデジタルコンテンツの利用制限を批判し、ユーザーの自由を守るために活動する重要な運動です。この運動は、啓発活動、抗議活動、タギング・キャンペーンなど、多様な手段を用いて、DRMの問題を社会に訴えています。また、フリーソフトウェア運動やオープンソース運動と連携し、デジタル社会におけるユーザーの権利を擁護する活動を継続的に行っています。

この運動の背景にあるのは、ユーザーがデジタルコンテンツを自由に利用できる権利は、基本的人権であり、それを制限するDRMは、社会全体の利益を損なうという考え方です。Defective by Designの活動は、テクノロジーの進歩が必ずしもユーザーの利益に繋がるとは限らないということを、私たちに教えてくれます。

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