Eシリーズ (ドイツ国防軍)

Eシリーズの概要

Eシリーズ（E-Series）は、1942年からドイツ国防軍が開発した戦車と装甲戦闘車両の一連のシリーズです。この計画は、陸軍兵器局のハインリヒ・エルンスト・クニープカンプが指揮するチームによって推進され、1943年4月に正式に承認されました。

開発の目標

Eシリーズの開発にはいくつかの明確な目標がありました。まず、異なる重量の車両を開発し、部品の共通化を図ることが重要視されました。また、外装式サスペンションを採用し、車両の室内空間を確保することで、実用性とメンテナンス性を向上させることも計画されました。傾斜装甲を用いることで、特に前面装甲の耐久性を強化することが狙われており、パワーパックのコンポーネント化によりメンテナンス性を高める方針も取られていました。最終的には、E-10からE-100までの5種類の型式が開発される予定でしたが、実際に製作されたのはE-100の車体と一部の試作車に留まりました。

各型式の詳細

1. E-10: これは軽駆逐戦車で、7.5 cm PaK 39（L/48）を主砲として装備する計画がありました。1944年に設計が完了し、量産型は軽駆逐戦車38(t)「ヘッツァー」の後継とする意図があったとされています。外装式サスペンションによって車高調整機能があり、戦車としての機動性に富んでいました。

2. E-25: 中級クラスの駆逐戦車で、7.5cm PaK 42（L/70）を装備する予定でした。IV号戦車やその駆逐戦車の後継として開発され、戦闘室上部に小型の銃塔を装備する計画もありました。しかし、工場が連合国軍に占領される前に試作車が完成することはありませんでした。

3. E-50: この型式は重量50トン級の戦車として計画され、アドラー社での開発が進んでいました。もし開発が続いていれば、パンターの後継とされる可能性がありましたが、最終的には未完成に終わりました。

4. E-75: 重量75トン級の重戦車として計画されたこのモデルは、ティーガーIIの後継になることが期待されていました。E-50と似たプランですが、装甲はこちらの方が厚く、異なるサスペンション設計が採用されました。

5. E-100: 最後は超重戦車E-100で、開発が進められていましたが、1944年11月にヒトラーからの開発中止命令が出されました。それでも部品製作は続けられ、戦後にアメリカ軍に引き渡されましたが、エンジンの性能不足からスクラップになりました。

Eシリーズの技術的特性

Eシリーズは、エンジンと駆動系を分割せず、エンジンルームにまとめることが特徴でした。この設計により、車内スペースを広く確保することが狙われており、リアエンジン・リアドライブ形式が採用されることになるはずでした。しかし、数多くのプラモデルでは起動輪の配置などが誤った形で模倣されてしまっています。
また、エンジンルームの拡張に伴い、操縦手用や機銃手用のハッチの設計にも変化があったはずです。将来的には車高を低く保ちながらも効率的なデザインが模索されることになり、戦後のレオパルト1に類似した形状を持つ可能性がありました。

結論

Eシリーズは、戦車開発の過程での技術革新と効率化を追求した計画であり、ドイツの戦車開発史において重要な位置を占めています。試作のみに終わったいくつかのモデルがあったものの、それらの技術的な試みはその後の戦車設計に大きな影響を与えました。

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