E-Z表記法

E–Z 表記法について

E–Z 表記法は、有機化学の分野において、特に二重結合の絶対的な立体配置を示すための方法です。この表記法は International Union of Pure and Applied Chemistry（IUPAC）による命名法の一部として位置づけられています。E–Z 表記法の登場により、従来の cis-trans 異性の記法を進化させ、より多くの置換基を持つ二重結合にも適用可能となっています。

EとZの違い

E（ドイツ語で「反対」を意味する「entgegen」）および Z（ドイツ語で「共に」を意味する「zusammen」）の表記は、Cahn–Ingold–Prelog（CIP）順位則に基づいて決定されます。この順位則は、二重結合の各炭素に接する置換基に優先順位を付け、高い方の基を比較します。

• - E体：優先順位の高い基が二重結合の反対側に位置する場合、これをE体と呼びます。
• - Z体：優先順位の高い基が同じ側に位置する場合、これをZ体とします。

表記のルール

EとZは、慣例的に大文字でイタリック体で記載されますが、他の部分はハイフンで区切られます。興味深いことに、英語の表記における大文字のルールに従って、EやZが単語の最初の文字になることはありません。例えば、「Butene」のBは大文字ですが、前のEが大文字であっても問題ありません。

また、CIP順位則において塩素よりも臭素が優先されるため、時には直感とは異なる命名が生じることもあります。

複雑な分子の表記

特に複数の二重結合をもつ化合物では、それぞれのアルケンがEまたはZに該当するかを明示する必要があります。たとえば、アリティレチノインという化合物の化学名は "(2E,4E,6Z,8E)-3,7-dimethyl-9-(2,6,6-trimethyl-1-cyclohexenyl)nona-2,4,6,8-tetraenoic acid" です。この例では、2、4、8番目のアルケンがE体に、6番目のアルケンがZ体に相当します。

参考項目

E–Z 表記法は、立体異性体や幾何異性体、分子構造に関する研究に不可欠です。この分野の理解を深めるためには、関連する文献や資料を参照することが重要です。たとえば、IUPACの提供するガイドや推奨事項に従い、正確な理解を身につけることができます。

参考文献

また、E–Z 表記法についてより深く学ぶためには、以下の参考文献をチェックしてください。

• - Panico, R.; Powell, W. H.; Richer, J. C., eds (1993). "Recommendation 7.1.2". A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds. IUPAC/Blackwell Science. [ISBN]] 0-632-03488-2. [IUPAC Nomenclature Guide

E–Z 表記法は、有機化学を理解するうえで重要なツールです。正確な立体配置を表記することで、化合物の特性や反応性をより深く理解できるようになります。

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