E.ON

エーオン(E.ON SE)の概要

ドイツのエッセンに本社を置くE.ON SEは、ヨーロッパ有数の大手エネルギー企業です。電力やガスの供給を主要事業としており、ドイツを代表する企業として、ドイツ株価指数DAXにも含まれています。国際的な企業として、ニューヨーク証券取引所とフランクフルト証券取引所に上場しています。

E.ONの設立と成長

1998年のドイツにおける電力自由化を背景に、それまで存在した八大電力会社は再編されました。その結果、E.ONは、VEBAとVIAGという二つの巨大電力会社の合併によって2000年に設立されました。

VEBAは、1929年に設立されたプロイセン州所有のエネルギー持株会社で、戦後は西ドイツ政府の国有企業となり、石油や通信事業にも進出しました。1987年には民営化されました。一方、VIAGは1923年に設立されたドイツの国営持株会社で、戦後はミュンヘンに本拠を置く国営企業となり、1986年から民営化が始まりました。

2003年には、ドイツのガス会社ルールガス（後にE.ON Ruhrgasに改名）を買収し、ガス事業にも参入しました。E.ON Ruhrgasは、ヨーロッパ20カ国以上に天然ガスなどを供給しています。

世界展開と企業買収

E.ONは、ヨーロッパ最大級の公益事業運営企業として、世界最大の民営エネルギー供給事業会社に成長しました。ドイツ国内外で多数の原子力発電所、火力発電所、水力発電所を運営しています。

積極的な企業買収戦略も展開し、スウェーデンのSydkraft社（E.ON Sverigeに改名）やイギリスのパワージェン社（E.ON UKに改名）などを傘下に収め、E.ONブランドを世界に広げました。さらに、中欧・東欧、ロシア、アメリカ合衆国などにも事業を展開し、ロシアのガスプロムの株式も保有しています。スペインのエンデサ買収には失敗しましたが、グローバルな事業展開は継続しています。

グループ企業

E.ONは、地域ごとに以下の五つの主要な子会社を擁しています。

E.ON Energie AG: ミュンヘンに本社を置き、ヨーロッパ大陸で電力供給を行う。ドイツ国内外の多くの電力会社を子会社として保有。
E.ON Sverige: マルメに本社を置き、スカンジナビア地域で電力供給を行う。
E.ON UK: コヴェントリーに本社を置き、イギリスで電力供給を行う。
E.ON US: ルイビルに本社を置き、アメリカで電力供給を行う。
* E.ON Ruhrgas: エッセンに本社を置き、ヨーロッパでガス供給を行う。

E.ONの再編

E.ONは、欧州委員会からの発送電分離要請や債務削減対策、再生可能エネルギー事業の負担増、卸電力価格の低下などを背景に、2010年以降大規模な再編を断行しました。2010年には送電部門をテンネットに売却し、2016年には従来型発電事業（水力発電、火力発電）やエネルギー取引、採掘事業を新会社「Uniper」に分割しました。原子力発電事業は、E.ONの子会社であるプロイセン電力に留まりました。

2018年には、RWEとの間で資産交換が行われ、E.ONはRWE傘下のイノジーの送配電事業を取得し、RWEはE.ONの再生可能エネルギー事業の一部を取得しました。この再編に伴い、E.ONは大規模な人員削減も行っています。

E.ONの現在

E.ONは、再編を経て、再生可能エネルギーを中心とした事業展開を強化しています。世界規模での事業展開、多様なエネルギー供給源の確保、そして持続可能なエネルギー社会への貢献を目指し、活動を継続しています。

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