EGレコード

EGレコード (E.G. Records) の軌跡：独立レーベルの興亡

EGレコードは、1969年にイギリスで設立された独立系レコードレーベルです。E.G.マネージメントによって運営され、1970年代から1980年代にかけて、その活動はピークを迎えました。しかし、1992年にヴァージン・レコードに売却され、その歴史に幕を閉じました。

設立と初期の成功

レーベルの名前は、設立者であるデヴィッド・エントホーヴェンとジョン・ゲイドンのイニシャルに由来します。1969年初頭、彼らは草創期のキング・クリムゾンとマネジメント契約を結び、その後、T・レックス、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ロキシー・ミュージックといった、時代を代表するアーティストたちとの契約に成功しました。これらのアーティストの成功により、EGレコードは瞬く間に音楽業界で重要な地位を確立しました。

経営陣の変遷とレーベルの再建

1971年にゲイドンが、1977年にはエントホーヴェンが会社を離れました。その後、サム・オルダーとマーク・フェンウィックがレーベルの建て直しに取り組みました。彼らはキング・クリムゾンの作品の再発に加え、ペンギン・カフェ・オーケストラ、ブライアン・イーノ、キリング・ジョーク、ルース・チューブス、ヒューマン・チェイン、マン・ジャンピング、イアイン・バラミー、アースワークス、UKなどの作品を発表し、レーベルの多様性を広げました。

配給とアメリカでの展開

EGレコードの配給元は、1974年まではアイランド・レコード、その後はポリドール・レコードでした。所属アーティストはアメリカ合衆国では、アトランティック・レコード、ワーナー・ブラザース・レコード、ポリドール・レコード、パスポート・レコード/ジェム・レコード、ヴァージン・レコードに配属され、その作品は世界中の様々なレーベルからリリースされました。

売却とその後

オルダーとフェンウィックは、元々ロイズの投資家でしたが、1990年代初頭に大きな損失を抱え、経済的に苦境に陥りました。その結果、1992年にEGレコードをヴァージン・レコードに売却することになりました。この売却は、レーベルに関わった多くのアーティストとの間に、様々な訴訟問題を引き起こしました。中でも、キング・クリムゾンのロバート・フリップとの長年にわたる法廷闘争は、特に有名です。売却後、EGレコードはヴァージンによって運営されましたが、1996年にヴァージンがEMIに買収された際に、ヴァージンに吸収されました。

設立者のその後

設立者の1人であるエントホーヴェンは、その後も音楽関係のマネジメント業務に従事し、2016年8月に亡くなりました。もう1人の設立者であるゲイドンも、様々な音楽関係の業務に従事し、ビデオ制作会社を運営した後、2018年5月に亡くなりました。

EGレコードは、独立系レーベルとして、数々の才能あるアーティストを世に送り出し、音楽史にその名を刻みました。その興亡の歴史は、音楽業界の複雑さと厳しさを物語っています。

参考文献

Smith, Sid (2019). In the Court of King Crimson: An Observation over Fifty Years. Panegyric. ISBN 978-1916153004
Bruford, Bill (2009). Bill Bruford: The autobiography: Yes, King Crimson, Earthworks, and more. Jawbone Press. ISBN 978-1-906002-23-7.
Bambarger, Bradley (11 July 1998). “Fripp label does it his way: Guitarist follows own muse in business, too”. Billboard 110 (28): 13 and 86.

関連項目

en:Category:E.G. Records albums
en:Discipline Global Mobile - キング・クリムゾンのギタリスト、ロバート・フリップが創設した独立レーベル
レコード会社一覧

外部リンク

* EGのディスコグラフィ - Discogs

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